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見えない所も強靱化

2021年4月5日
 宮崎市の大淀川で高校生たちのカヌー練習を見ていたら、珍しく4人艇が沈(転覆)した。こぎ手たちは救命胴衣を着ており心配はない。水温はすっかりぬるんでいるのか、泳ぐ彼らが気持ちよさそうだった。

 もしかしたら沈の原因は、従来と水流が変わったからではないかと考えた。現場一帯は昨年からの浚渫(しゅんせつ)工事が終わったばかり。川底の変化で水の流れが変わったかもしれない。もっとも、川の流れはたえず変化しているので、そんな推測を彼らは笑い飛ばすだろう。

 浚渫は珍しいので、工事中は飽きずに眺めていた。洪水対策として、川底にたまった砂を除去するのは堤防を高くするのと同じ効果がある。景観維持の面でも優れている。川底からすくった大量の土砂は、侵食が進む一ツ葉海岸の補修に使われるそうだ。まさに一石二鳥。

 今まで工事が少なかったのが不思議だ。専門の業者が少ない、作業に危険が伴うなど理由はあろうが、最大の理由は「施策の実績として目立たないこと」ではないだろうか。行政関係者に聞くと、高市早苗・前総務大臣が防災における浚渫事業の有効性を強調し、推進の機運が高まってきたという。

 新しい日向灘地震の被害想定によると、県内沿岸部へ津波が到達する最短時間は12分。南海トラフ巨大地震より4分早い。早期避難行動の必要性を痛感する。避難タワー等の整備も進んでいるが、見えない箇所でもしっかりハード面の強靱(きょうじん)化に努めてほしい。

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