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琴奨菊関引退

2020年11月18日
 「力士」と「お相撲さん」は、同義語には違いないのだが、言葉から受ける印象はずいぶん違う。いわゆる「気は優しくて力持ち」のイメージには、やはり親しみがこもる「お相撲さん」の方がしっくりくる。

 そうしたお相撲さんのイメージを地で行く力士は過去に数多くいた。15日に引退を発表した琴奨菊関も、間違いなくその一人だった。引退に際し、角界や地元福岡県柳川市など多くの関係者の声が紹介されていたが、目立ったのは「優しい」という人物評だった。

 ほかには「誠実」「穏やか」など。他の部屋の力士にも分け隔てなくアドバイスする、本場所で勝つたびに古里に寄付をする―。人柄を表すエピソードには事欠かない。大関時代はもちろん、大関陥落後も愚直に相撲を取り続けたその姿に元気づけられた人も多いだろう。

 15年ぶりに十両になり幕内復帰を目指した今場所。しかし古傷もあって、結果を出すことはできなかった。引退を決意して臨んだ14日の取組。得意技の「がぶり寄り」と並んで、自身の代名詞だった上体を大きく反らす「琴バウアー」を久しぶりに披露。これまでの感謝の気持ちを込めたのだという。

 「数え切れないほどのことを近くで教えてもらった」と感謝するのは、付け人も経験した弟弟子の琴恵光関。琴奨菊関が引退の意向を固めた節目の日に5勝目を挙げた。きのう6勝目。この勢いで残り5日、勝ち星を連ねて兄弟子へのはなむけとしてほしい。

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