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聖徳太子宇宙へ

2020年11月17日
 ワニが出るなんて冗談か脅しと思っていた。1年ほど前、米国フロリダ州のケネディ宇宙センターを見学した時。バスで移動しながら、傍らの湿原を見るとアリゲーター(ミシシッピワニ)が浮かんでいた。

 広大な敷地にはアポロやスペースシャトルなど、数々の宇宙探査計画で使われた機材やモニュメントが展示。今思えば巨大な格納庫には昨日打ち上げに成功した「クルードラゴン」1号機もあったのかもしれないが、下手に近づいたらワニにかまれていただろう。

 日本人宇宙飛行士野口聡一さんら4人を乗せてフロリダの空を突き進む姿を、映像で見守った。モノトーンな色彩でまとめた、おしゃれな宇宙服と船内の内装、簡素な管制室は、センターで見学した往時のものものしいいでたちと趣が変わっていて、現代らしさを感じた。

 本紙記事で、漫画「宇宙兄弟」の作者小山宙哉さんが野口さんと話し、同時に複数の作業をこなす能力を「聖徳太子みたいな人だ!」と印象を語っていた。野口さんが少年時代を過ごした兵庫県太子町は聖徳太子と縁が深い土地。言い得て妙、と納得するほど野口さんは幅広く任務をこなしてきた。

 民間の宇宙船として先駆けとなる今回も、半年間の宇宙滞在中に多くの物理や化学の実験に携わる。宇宙での老化もテーマ。55歳の野口さん自身がデータを提供してくれるはずだ。帰還後は聖徳太子よろしく、子どもたちの矢継ぎ早な質問にも答えてほしい。

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