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最後のニュース

2020年10月24日
 「…ん?」。井上陽水さんのライブ映像を見ていて一瞬、違和感を覚えた。聴いていたのは「最後のニュース」という曲。30年ほど前、民放の夜のニュース番組の最後に使われていた曲で、よく聴いていた。

 「暑い国の象や広い海の鯨 滅びゆくかどうか誰が調べるの」といった具合に、さまざまな社会問題を「―するの?」と、問いかける形で歌う。違和感を覚えたのは2番の歌詞。「地球上のサンソ、チッソ、二酸化炭素は森の花の園にどんな風を送ってるの」―。

 確認すると、記憶は正しかった。「二酸化炭素」の部分は、元は「フロンガス」だった。昔はエアコンやスプレーなどに使われていたフロンガス。しかし、オゾン層を破壊することが分かり使われなくなった。歌詞がフロンガスから二酸化炭素に変わったのはそのためか。

 さて、その二酸化炭素だが、これも温室効果ガスの代表格である。菅義偉首相が、温暖化対策として、国内の同ガスを2050年に実質ゼロにする方針を固めた。臨時国会召集日の26日、所信表明演説で表明するという。首相が脱炭素社会を実現する具体的な時期を示すのは今回が初めてのことだ。

 もちろん実現に向けては、再生可能エネルギーの導入拡大をはじめ、数多くの課題が立ちふさがる。だが、首相就任時に掲げた「スピード感」をもって取り組んでもらいたい。30年後、くだんの曲の「二酸化炭素」の部分も時代に合わなくなっているように。

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