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ブーメラン

2020年10月16日
 新しい辞書には、その意味での使い方が載っているようだ。最近の若い人がよく使っているイメージが強い言葉「ブーメラン」。他者に対しての批判や指摘が自身にそっくりそのまま跳ね返ってくることだ。

 性暴力被害を巡り「女性はいくらでもうそをつける」と発言した自民党の杉田水脈衆院議員も一例だろう。当初、発言を否定していたが、後にブログで「発言があったことを確認した」と認めた。「うそをつくのはあなたでしょう」と揶揄(やゆ)されても仕方なかろう。

 「杉田」続きで紛らわしいが、こちらは官房副長官の杉田和博氏の話。日本学術会議の会員任命拒否を巡って杉田副長官が「複数人を任命できない」と菅義偉首相に事前報告していたことが分かった。これによって、同副長官が矢面に。野党は、国会招致を要求している。

 対する自民党の森山裕国対委員長は「副長官が国会に出るのはあまり前例がない」と、難色を示す。「前例」を持ち出すのならばひとこと。今回の件で菅首相は「推薦された方を、そのまま任命する前例を踏襲していいのかを考えた」と政権が掲げる「前例主義の打破」を根拠にしていたはずだが。

 意地悪は承知の上。でも、こう返したくなるくらい任命拒否に関する政府対応はすっきりしない。さらにこの問題は学術会議のあり方に論点が移りつつある。まるで「拒否の理由は?」と投げた問いのブーメランが見当違いの方向に返ってきたみたいな話だ。

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