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リーダーのメッセージ

2020年6月29日
 地獄の111日―。米ニューヨーク州のクオモ知事は、こう振り返った。新型コロナウイルスの感染者が同州内で初めて確認された3月1日から毎日続けてきた定例会見。状況改善により19日で打ち切った。

 冒頭の言葉は、最後の会見でのものだ。苦悩の日々がうかがえる。4月には、感染の先行きが見えず市民が攻撃的になる中で「誰かを非難をするのなら私を」と訴えた。同じころ、日本では自民党の政務官が「感染拡大を国のせいにしないで」と言い非難された。

 世界レベルで感染が広がるという災難の中でこれまで各国、各自治体のリーダーがさまざまなメッセージを発してきた。観光立国ながら「鎖国策」をとったニュージーランドのアーダン首相は、連日記者会見を開き、必ず最後は「強く、お互いに優しく」と締めくくった。

 ドイツのメルケル首相は、近隣諸国との国境で入国制限をした際に「渡航や移動の自由を苦難の末に勝ち取った私のような人間にとって、制限は絶対に必要な場合にだけ正当化される」と述べた。かつて自由な移動ができなかった東ドイツで育った自身の体験を交えて呼び掛け、国民の共感を得た。

 有事下の国や自治体のトップに美辞麗句は不要だ。責任を負う覚悟と市民に寄り添う姿勢と人の痛みへの共感。要は血の通った人としての言葉だ。終息への道は遠いコロナ禍。わが国、わが県のトップはこの先、どんなメッセージを発していくことだろうか。

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