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五輪と都知事選

2020年6月27日
 自衛隊のジェット戦闘機ブルーインパルスが青空に描く五輪のマーク。それを見上げながら車の整備工場の社長が、集まってきた近所の人たちと雄たけびを上げる「東京オリンピックだ。うおおおおーっ」。

 1964年の東京を舞台にした映画「ALWAYS 三丁目の夕日’64」のひとこまだ。社長を演じるのは堤真一さん。叫ぶ前に「焼け野原だったところにビルができて世界一の東京タワーができて、そしてとうとうオリンピックだぞ」と、しみじみ語るシーンがある。

 戦後復興の象徴だった64年の東京五輪。59年の開催決定時から高揚感があったかと思っていたが、違っていた。当時の世論調査などを見ると、盛り上がりを見せ始めたのは開催日が近づいてから。それまでは「五輪以外にすべきことがある」といった声が少なくなかった。

 22人が立候補した東京都知事選。争点の一つが来年の五輪だ。「東日本大震災からの復興」から「アフターコロナ」の意味合いが強くなった五輪。れいわ新選組の山本太郎代表は「中止でいい」と言い元日弁連会長の宇都宮健児氏は、開催が困難と判断された場合には中止を働き掛けるとしている。

 「こんなときに」か、それとも「こんなときだからこそ」の五輪か。来年、世界レベルでコロナ禍がどうなっていれば、またどんな形や規模ならば賛成なのか、あるいは反対なのか。今回の選挙で、開催地の五輪への世論はどこまで浮き彫りになるだろうか。

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