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鬼の中の鬼

2020年5月22日
 「おにごっこ」は最初じゃんけんで負けた子どもが鬼役になる。その他の子どもたちは開始の合図で一斉に逃げるのが基本的なルールだ。鬼役がみんなを追いかけ回し、1番目に捕まった子が次の鬼になる。

 罪の有無、軽重を決める裁判で裁判官や弁護士にない検事のイメージは鬼だろう。警察から送致された事件を自らも調べ、公益の代表者として裁判所に起訴するか判断し、裁判では被告の罪を立証して裁判所に対して、どのような刑罰を科すべきか意見を述べる。

 法で「いかなる犯罪についても捜査することができる」とされ、政府要人らも捜査対象になる。ロッキード事件で元首相を逮捕したのも東京地検特捜部だった。検事総長はさしずめ鬼の中の鬼だが、それは巨悪にとってのことで、一般市民にとっては頼もしい鬼のはずだ。

 検察庁法改正案などが首相官邸の信頼が厚いとされる東京高検検事長を次の検事総長に据えるための布石と疑われ、ツイッターでの抗議に同調する投稿が数百万に達する事態に。政府、与党が法案の今国会成立を断念した直後、渦中の人物が緊急事態宣言下、賭け麻雀(マージャン)に興じていたと週刊誌が報じた。

 豊田君夫著「楽しいおにごっこ その基本形と展開」によると、おにごっこには鬼を全員で追うものもある。鬼ポストをめぐる人事に問題あり、と多くの人が追及したのは巨悪は許さぬ検察であるべきとの願いの裏返し。渦中の人物がやめて一件落着ではない。

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