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それ、今じゃなきゃだめ?

2020年5月19日
 サッカーの試合でイエローカードを出された武田鉄矢さんが、審判に二つのカップ麺のうちどちらを食べたいかを突然尋ねる。すると審判が冷ややかに尋ね返す。「それ(答えるの)今じゃなきゃだめ?」。

 現在放映中のCMだが最近、この審判の言葉を聞くたびに検察庁法改正案のことが頭に浮かんでいた。時の政権の判断で検察首脳らの定年を延長できるようにする改正案。この件をめぐっては、ここ1週間ほどの間に抗議の声が異例のスピードと規模で広がった。

 世間の耳目を集めたのが、著名人を含めた膨大な数の抗議ツイートだ。「少数のネット民による組織票」と政府側は当初冷ややかだったが、その後、元検事総長が反対の意見書を法務省に提出。きのうは東京地検特捜部の元検事らが再考を求める意見書を同省に提出した。

 そしてきのう、ついに政府、与党は同法改正案の今国会での成立を見送ることを決めた。これだけ国民が関心を寄せている重要案件である。もしも今強行採決すればこの先ずっと「コロナ禍に紛れて」のそしりを受けよう。「今じゃなきゃだめ?」ではなく「少なくとも今はだめ!」ということだ。

 さりとてコロナ禍が収束すればOKという話ではない。この改正案は「森友」や「加計」など、いまだぬぐい切れぬ疑惑の延長線上に見られていることを肝に銘じ、疑念を持たれない形で再提出すべきだ。さもないと国民からのレッドカードが待っていよう。

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