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いつもと違った春

2020年4月5日
 井上陽水さんが1974年に出した曲「いつもと違った春」。この曲の中で陽水さんが「いつもと違う」といっているのは、春の長さ。「心はやはり踊った」ともあり、春が到来した喜びは変わらぬようだ。

 かたや、新型コロナウイルスに苦しめられる今年の春。それは長さ云々(うんぬん)ではなく、確実に心のありようが違う。卒業式や入社式といった人生の節目の催しすら中止や規模縮小を余儀なくされる。桜が咲いても花見の宴(うたげ)もままならない。まさに青息吐息の春である。

 九州を含めた各地で外出自粛要請が相次いで出され、国中が「家でじっとしているのが一番」といった空気に覆われる。そんな中でも、いやそんな中だからこそ待ちわびた春を五感を駆使して何とか感じ取り、開放感を味わいたいという気持ちはより強くなるものだろう。

 「じゃんけんで負けて蛍に生まれたの」の句で知られる俳人・池田澄子さんの作品に「生きるの大好き冬のはじめが春に似て」というのがある。文字面(もじづら)とは逆の意味も含むことをほのめかす本人の談話もあるが、訪れる冬の中にすらわずかな春の気配を感じ取る豊かな日本人の感性がそこにはある。

 きょう一部のニュース面と、すべての地域面に恒例の桜の写真を掲載した。身近な地域の桜や、こんな状況でなければ足を運んでいたかもしれない名所の桜とさまざまだろう。「いつもと違う春」を送る中で、少しでも春の喜びを感じていただければ幸いだ。

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