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医療従事者に感謝

2020年4月3日
 小欄で先日、フランス南部の都市グルノーブルで日本語教師をしている長島みえさん(宮崎市出身)からのメールを紹介。新型コロナウイルスの感染拡大にさらされる現地の模様を伝えたが、続報が届いた。

 前回はアパートの窓から歌う学生に拍手が起きるなど、苦境を楽しんでさえいるような雰囲気があった。だが今は爆発的といえるほど急増する感染者と外出禁止措置に、市民生活のストレスが限界に達しつつあるという。そんな中でも少し心が和む話題があった。

 激務の医療従事者をたたえるため毎晩8時から1、2分、市民が家のベランダから拍手を始めた。欧州各地でそういう運動が起きていることは聞いていたが、地方の小都市でも行われているようだ。「みんなで何かを共有するっていいなと思う」と長島さんはつづっている。

 幕末期に来日したウイリアム・ウィリスという英国人医師がいる。彼は自分を暗殺しようとして負傷した武士を献身的に治療。その温情あふれる態度に武士も心服した。ウィリスは動乱のさなかも幕府軍、新政府軍問わず一般市民にも厚い治療を施したという(林望著「かくもみごとな日本人」)。

 感染者が激増する欧米で日夜過酷な勤務に当たる医師や看護師らは、ウィリスの末裔(まつえい)かと思えるほどの使命感を発揮している。むろん日本にも彼の精神は伝わる。今後感染の広がり方は予測できないが、一線で働く医療従事者に敬意を忘れないようにしたい。

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