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苦境にあってもユーモアを

2020年4月2日
 エープリルフール特別紙面だったわけではない。だが、新型コロナウイルスの東京における急激な感染拡大、本県の経済界にも及ぶ甚大な影響を伝える記事が並んだ昨日の紙面に「うそだろう」と声がもれた。

 昨日、テレビで参院決算委員会を見て驚いた。安倍首相以下、ほとんどの政府閣僚や官僚、議員がマスクを着用。国民の模範となる場として判断したのだろう。迫り来るウイルスの影を実感する。しかしこんな鬱々(うつうつ)とした日が続くからこそ心の潤いを忘れたくない。

 冗談好きで知られた作家の北杜夫は「葬式」というエッセーで「ユーモアは人類の持つ最大の長所」として「この世には真面目に処さねばならぬことは多々あるが」と断って「そういう深刻なことがらを前にして、そんなにしかめ面をするな、いっそ笑え」と述べている。

 笑いが「この世に生気を吹き込んでくれる場合もある」という信念からだ。思えば、新型コロナウイルス感染で亡くなったコメディアンの志村けんさんも笑いで世の中を和ませてくれる存在だった。突然の死去に悲しみは尽きないが、追悼番組で変なおじさんやバカ殿を見てて吹き出してしまった。

 志村さんは、大変厳格で重苦しい雰囲気の家庭で子供時代を過ごし、テレビの漫才や落語を見て嫌なことを忘れたという。志村さんの弾けたコントは抑圧感からの解放だったのだろう。めいる日はまだ続くが「だいじょうぶだぁ」と唱えれば妙に元気が出る。

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