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あすは四月馬鹿

2020年3月31日
 詩人の谷川俊太郎さんがファンから寄せられた質問に答える問答集「星空の質問箱」(絵・祖敷大輔)にあった質問の一つ。「谷川さんは、4月1日にウソをついたことはありますか」(神納月二十四歳)。

 谷川さんの答えは次の通り。「すぐウソとばれるので、4月1日だけは絶対ウソをつかないようにしています。ばれないような凝ったウソ、プラクティカル・ジョークを考えると、今度はだまされた人が怒り出すので、やはりウソは他の日つくことにしています」。

 あすはエープリルフールの日。ウソをついてもつかれても、怒られないし怒ってはいけない日、と教えられて昔は随分、だましたりだまされたりしたものだが、今はどうなのだろうか。少なくとも筆者の周辺では、この風習で一杯食わされた、という話を聞かなくなった。

 ネット空間をフェイクニュースが駆け巡り、根も葉もないことが一瞬で世界に拡散される現代である。現実空間でも重要な文書の改ざんを部下に強制して、苦悩した部下が自殺しても知らぬ顔の官僚もいる。わざわざ凝ったウソまで考えなくてもいい、という心理が大衆にあっても無理からぬこと。

 答えから察するに谷川さんはウソをつくようだがどんな内容だろうか。詩人だから作品の中でありそうもないことを書くことはあるはずだ。人を励まし元気にするウソならばいくらついてもいい。今夜の寝床で考えてみようか。四月ばかにふさわしいウソを。

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