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演劇文化を守れ

2020年3月26日
 人気劇団の公演はいつも満席。本県は他県に比べ演劇が盛んといわれる。各劇団が独自色を打ち出しているからだが、互いに刺激し合い情報交換しているのも大きな理由。その中心にあるのが県演劇協会だ。

 かつても個性的な小劇団はいくつかあったが、互いに無関心で離合集散を繰り返していた。県立芸術劇場建設に際し演劇界の意見をまとめる必要もあって、1988年に演劇協会を設立。その初代会長で本県の演劇界を先導した矢野一誠さんが89歳で亡くなった。

 本紙で自分史を連載した折、毎週自宅へ原稿をもらいにうかがった。連載のスタート時期や回数など突然の申し入れを何度かしたが、丁寧に受け入れてくれ、いつも約束は厳守。「演劇関係の人は気難しいかも」という思い込みを覆す、紳士的な物腰にすっかり敬服した。

 だからこそ演劇界のまとめ役として最適任だった。協会の設立は合同公演につながり「半ぴどん物語」「石井十次物語」「宮崎城物語」など郷土色の強い演目を次々に上演。「チャレンジに定年はない」をモットーとする矢野さんも自ら出演や脚本を手掛け、演劇界、本県文化の向上に大きく貢献した。

 今、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う公演等の中止が劇団や俳優を苦境に追い込んでいる。彼らの損失を補償する制度はない。だが人々を元気づける存在はますます必要だ。演劇文化を守るにはどういう支援ができるのか矢野さんに聞いておきたかった。

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