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歌うフランス人

2020年3月24日
 「第2次大戦以来最大の難局」。テレビ演説したドイツのメルケル首相がそう例えて国民の結束を訴えたほどだから、日本で考えるよりも相当深刻な状況がうかがえる。欧州に広がる新型コロナウイルスだ。

 死者数が中国を上回ったイタリアをはじめ各国で感染者が増え続け、市民生活も大きく不自由を強いられている。フランスのグルノーブルという南部の都市で大学の日本語教師をしている長島みえさん(宮崎市出身)から現地の状況をメールで知らせてもらった。

 フランスには「ビズ」といって、ほっぺたを合わせるあいさつがある。ほかにもハグやキスなど、人の距離が近い場面が日常にあるため感染拡大につながったと長島さんはみる。レストランやカフェ、映画館など公共の場所が営業停止となったが、野外に出掛ける人は多い。

 とはいえ一般には長時間の自宅待機が強いられて、ストレスがたまる一方だ。長島さん宅の向かいのアパートに住む学生はギターを持って窓辺に立ち、ワンマンショーを開始。歌も演奏も相当へたくそだったが、周辺のアパートの若者たちは「イエーイ」と声援を送るなど結構楽しんでいる様子だ。

 苦しい環境にあっても何か慰めを見つけるところは「さすがフランス人」と感心しきり。「景気悪くなったら『コロナ反対』とかデモしそうだね」と日本の友人と冗談も飛ぶそうだ。2度の大戦から再起した欧州の民。力強くウイルスも克服すると信じている。

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