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だまし絵の街並み

2020年3月23日
 大阪駅桜橋口の地下道には、壁と天井部分に全長140メートルにわたって「だまし絵」の”街並み”があるそうだ。オープンカフェのゾーンに描かれているのはグラスを掲げて乾杯する女性やウエートレスたち。

 地上に上がっていく階段(のように見える部分)にいるのは振り向く男女、歩きながら打ち合わせするビジネスマン、下水管から上半身を出した作業員、スケートボードでジャンプする若者などだ(椎名健監修「トリックアート図鑑 だまし絵 錯視大事典」)。

 新国立競技場が初公開されたときに驚いたのは、無人のはずの観客席がまるで人で埋まっているように見えたことだった。茶、黄緑、白など5色をモザイク状に配置して「木漏れ日」を表現したという座席の色、デザインがまるでだまし絵のような効果を生み出していた。

 東京五輪・パラリンピック開幕日まで4カ月。新型コロナウイルスの影響が懸念され中止、延期を含む臆測や要請が飛び交う。日本が目指すのは大会規模を維持した上で新国立競技場を中心にした各施設の観客席をいっぱいにした「完全な形」での開催だが、それができるかどうか。今が正念場だ。

 巧妙にできていても「だまし絵」の街並みに人の息づかいはなく、配色で満員に見えても無人のスタンドにどよめきはない。中止はさすがに論外と思うが無観客にしないためには延期を視野に入れた準備が必要だろう。コロナ終息のめどが立てば話は別だが。

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