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牧水賞で瞳輝かせる

2020年2月12日
 宮崎市内で春季キャンプを張るプロ野球ソフトバンクの練習を見学した。メインスタンドは空席がないほど観客でいっぱいだ。世代は幅広いが、童心に帰ったようにボールの行方を追う中年世代も目立った。

 そんなかつての野球少年には、県内のキャンプ情報を満載した本紙1月31日付のラッピング紙面はうれしい驚きだったのではないか。1970年の旧県営球場。巨人のV9黄金期を築いた長嶋茂雄、王貞治さんの2人がバットを構えてこちらをじっと見る写真だ。

 別のチームのファンであっても、ONコンビが球界を代表する形で登場することに異を唱える人はいないだろう。ONの全盛期に魅了された原体験を通し、年齢を重ねても野球への特別な郷愁を大事にする世代の気分を、黒岩剛仁さんの歌集「野球小僧」は色濃く伝える。

 「野球小僧なりたる吾は童心に返り早めに入場したり」。久しぶりに東京ドームの巨人・阪神戦を訪れた著者はたちまち、初めて甲子園で観戦した少年時代にタイムスリップ。長嶋ファンだったが、阪神ファンの父と阪神側に陣取ったために関西弁のやじにおびえた記憶などが生き生きとよみがえる。

 「野球小僧」と現代社会への鋭い視点が評価された松村由利子さん「光のアラベスク」。第24回若山牧水賞に決まった2人の授賞式と祝賀会が今日、宮崎市で開かれる。「少年のような瞳」といわれる牧水の写真の前で、2人の瞳がどのように輝くか楽しみだ。

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