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学校スマホ持ち込み容認へ

2020年2月9日
 ある総合病院。いつもパソコンに向かって患者の方を見ない内科医に女性患者が言った。「たまには顔を見て、聴診器も当ててください」。意表を突かれた医師は聴診器でなく、マウスを女性の胸に当てた。

 柳田邦男著「壊れる日本人」にある実話。柳田さんは「ちょっとしたミスといえばそれまでだが」と断って、問題があると何でもパソコンやスマートフォンで解決しようとする若者の傾向に「心まで絡め取られて精神的な中毒症状に陥っている」と警鐘を鳴らす。

 青少年へのさまざまな弊害が指摘されるスマホや携帯電話だが、県高校PTA連合会は方針を転換し、学校への持ち込みを生徒に容認する方向だ。最終的には各学校の判断となるが、PTAの容認は解禁の動きを加速させよう。節度のある使用へルール作りが求められる。

 全国的に学校のスマホ解禁の流れをつくったのが昨年、公立小中学校への持ち込みを容認した大阪府だ。前年に府北部地震が起きた際、保護者から「長時間子どもと連絡が取れず困った」として柔軟な対応を求める声が相次いだのがきっかけ。文部科学省も原則禁止の通知を見直す方針を示している。

 既に教育現場でも端末機器を使った授業が進む。もはや生活の一部と化したスマホを若者と分離するのは不可能といえよう。ただスマホ持ち込みの大義名分は、あくまで災害時の緊急連絡手段。先生と生徒が画面ばかり向いて互いの顔を見なくなるのは怖い。

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