半世紀を超える日本野鳥の会県支部の歴史の中で、女性では初めて支部長に就任した。全国86支部の中でもまれな存在だが、「五感を使って自然の中を歩き、仲間と交流することで、心身の健康に良い影響をもたらす。野鳥と触れ合う素晴らしさを広めていきたい」と気負いはない。
宮崎市の南九州大健康栄養学部の教授として、栄養学や健康科学などを指導する。同大学が掲げる理念「食・緑・人」と、自然と人間の共存社会の実現を目指す同会の考えとの親和性に着目し、県支部連携の同大学公開講座を企画するなど抜群の行動力を発揮。「野鳥が健全な姿で生きる環境は、人にとってもいい環境。自分の経験を通じて、カリキュラムだけでは教えられないことも学生に伝えたい」と見据える。
野鳥に興味を抱いたのは、熊本県で前任の大学に勤務していた時。福岡市の自宅と職場を往復する途中、高速道路を越えて真っ白な翼を広げて飛ぶサギや、上昇気流を捉えて旋回するトビの姿に心奪われた。
2016年に南九州大に着任した翌年、「豊かな自然が身近にある宮崎の魅力」に心ひかれ、入会。活動は一般向けの探鳥会から野鳥の調査・研究、自然環境保全など多岐にわたるが、「一生懸命生きる野鳥たちから生きざまを学ぶ。どの鳥もめちゃくちゃ尊い」と底知れぬ野鳥への愛を語る。
近年は、貴重な動植物を守るため、地元住民と大学近くを流れる小松川の保全活動にも力を入れる。単身赴任生活も8年目。「夫とはお互いほったらかし。好きなことができて最高です」と破顔する。67歳。