「市民の市政に対する信頼を取り戻したい」。串間市職員、市議として約50年の経験を買われ、大役を担うことになった。
島田俊光市長から「一緒に市政運営をしてほしい」と打診があったのは2月下旬。これまで行政や議会の派閥争いによる市政の停滞を目の当たりにしてきた。「市民総力戦を掲げる島田市長なら串間を再生することができる」と市議を辞職し、引き受けた。
就任直後の課長会では「職員の手本となるように職務に励み、市民により良いサービスを提供してもらいたい」と要望。「良き相談相手にもなる。一人で悩まず、いつでも副市長室を訪ねて来てほしい」と呼び掛けた。
同市大平出身。日南農林高(現日南振徳高)卒業後、大阪で就職したが、家庭の事情で帰郷。1965(昭和40)年から串間市民病院で働き、財政課長や企画調整課長などを歴任した。
99年、市議選に初挑戦し当選した。通算6期務め、観光地である都井岬の再生、地域資源を活用した木質バイオマス発電、畜産を中心とした農業振興の重要性を訴えてきた。
若者の流出による人手不足、市民病院の医師確保による機能充実、特産の甘藷(かんしょ)の病原菌対策など課題は山積するが、「組織の一員として市長を全力でサポートしていく」。
市長選3回、市議選6回と計9回選挙に出馬した。妻須美江さん(75)には「本当に苦労の掛けっぱなし。今の自分があるのは彼女のおかげ」と感謝を忘れない。毎朝愛犬ゴンと約40分の散歩が日課。同市西方。76歳。