橋への尽きることなき熱い思い。その原点は、子どものころに親しんだ延岡市の安賀多橋にある。台風にもびくともしない鉄筋コンクリートの橋が、とてもたくましく、魅力的に映ったという。その橋が「橋の日」発祥の橋となった。
東京都に本社がある橋梁メーカーで働いていた1985(昭和60)年、個人の立場で「橋の日」を提唱。翌86年の「延岡橋の日実行委員会」の設立に尽力した。その年、同橋で第1回の橋の日イベントを開催。さらにその翌年、宮崎市の実行委員会の発足にも携わった。
それから30年。「延岡の『橋の日』に行くと、参加者の方々が、とても気持ちの良いあいさつをしてくれる。立派な橋にきれいな川、そして人と人の触れ合い。これだけすばらしいものがそろっていれば(イベントが)続かないわけがない」とあらためて古里の川と橋に思いをはせる。
これまで延岡で始まった「橋の日」を全国に広めるため奔走してきた。「最初のころは、その趣旨を理解してもらえずにずいぶん苦労した」という。だが地道な取り組みは徐々に実を結び、広がりを見せていった。
そして今年7月3日。延岡「橋の日」の打ち合わせをしているとき、唯一の未実施県だった滋賀県で開催されるとの報が飛び込んできた。「節目の年の“全国制覇″。感慨深いものがあった」 一区切りの達成感はあるが、まだ志半ば。「絵に例えると、これからやっと色塗り、といったところでしょうか」と気持ちを新たにする。宮崎市小松台東。73歳。
(延岡支社・末崎和彦)