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東日本大震災2年 備える巨大津波

(1)市民意識

2013年3月7日
■風化との闘いすでに

 未曽有の被害を残した東日本大震災から間もなく2年を迎える。私たちに数々の課題を突きつけた災害を「想定外」で片付けてはならず、とりわけ多くの人命を奪った津波対策は急務だ。南海トラフ巨大地震の被害予想では、最大4万2千人の犠牲者が出るとされる本県。先の震災の教訓はどう生かされているか、備えは十分か検証する。

   
 県内の沿岸10市町で計142.8平方キロが浸水、早い所は14分で津波が到達する-。県が2月、マグニチュード(M)9級の地震が発生した際の津波浸水想定を公表した。想定では、県警本部や日向市役所などの公共施設が浸水域に入り、宮崎空港や国道10号、JR日豊線、日南線なども最大10メートル浸水する。行政機能や交通網がまひすることは必至だ。

 内閣府の想定に、県独自でより厳しい条件を設定した本県の「確定版」。これまでより津波の到達時間は2分早まり、浸水面積も拡大した。県内の沿岸10市町は、今回の想定に基づき地域防災計画の見直しやハザードマップの作成を本格化させる。

 国の検討が長引いたこともあり、完成までに費やしたのはおよそ2年。時間の経過とともに、未曽有の震災の教訓は薄れていないだろうか。県民は災害への緊張感を保ち続けているのだろうか。

■   ■

 南太平洋のソロモン諸島沖でM8の地震が発生した2月6日、気象庁は県内の沿岸部全域に、最大50センチの高さの津波が到達する恐れがある津波注意報を発表した。それを受け、沿岸部の自治体は防災無線で海岸に近づかないよう呼び掛けたが、肝心の市民の反応には温度差があった。

 日向市財光寺の長江保育園は、市のサイレンを聞いた職員の判断で、園児約90人を指定避難所となっている高台の寺へと速やかに避難させた。一方、宮崎市の青島海水浴場。津波到達予想時刻の30分前になっても、青島神社周辺を散策する観光客や地元民の姿が散見された。

 同海水浴場で警戒に当たったライフセーバーの藤田和人さん(36)=同市中村東1丁目=は「沿岸部の人は心構えができていると思うが、注意報でなく警報が出たとき適切な行動をとれるかどうか。不安がないとは言えない」と口にする。

■   ■

 県危機管理課によると、県内の自主防災組織の組織率は、東日本大震災以前は63.5%(2010年4月)だったが、12年同月は76.5%と13ポイント上昇した。しかし県が同年3月に実施した県民意識調査では、「災害への備えをしている」と答えた人は34%止まり。自主防災活動についても、参加経験なしが55%と過半数を占めた。

 災害に強い地域づくりを推進する「県民がつくる宮崎防災ネットワーク」の出水和子事務局長は、「3.11直後からすると住民間に危機感の薄れは出ている」と指摘。「防災への関心は少しずつ高まっている。この機を逃さず、住民一人一人が防災への当事者意識を持つまで粘り強く呼び掛けていかねばならない」と訴える。記憶の風化との闘いが、すでに始まっている。

【写真】ソロモン諸島沖地震で本県沿岸にも津波注意報が発令され、観光客に引き返すよう促す消防団員=2月6日午後、宮崎市の青島

(1)市民意識2013年3月7日付
(2)企業防災2013年3月8日付
(3)公務中被災2013年3月9日付
(4)行 政2013年3月10日付
(5)ハード対策2013年3月11日付

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