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日豊新時代 東九州道蒲江―北浦開通

(上)戦略

2013年2月14日
■交流増加へ情報発信

 東九州自動車道「蒲江-北浦」間の開通で、大分、宮崎両県が初めて高速道で結ばれる。山がちなリアス式海岸に阻まれ、「陸の孤島」と呼ばれた県境地域だが、交通状況の改善や交流人口増加、商業圏拡大など、両県をつなぐ高速道に寄せる期待は大きい。

 「やっと安心して通行できる道路ができる」。IC(インターチェンジ)ができる人口141人(68世帯)の佐伯市蒲江波当津地区。井上龍一郎区長は胸をなで下ろした。リアス式海岸の入り江に位置し、地区外に通じる道路の道幅はどれも狭い。2001年の豪雨は地区に通じる道路を全て寸断し、地区が一週間も孤立した経験があるだけに住民の喜びは大きい。

 高齢化が進む地域にとって、高速道を活性化のきっかけにしたいという思いは強い。大分随一と自慢する海水浴場にはかつて観光バスが連なることもあったが、アクセスの悪さから客足は次第に遠のいた。高速道開通を前に地区の自然や農産物、住民のもてなしで観光客を迎えようと「波当津道の駅構想」を打ち出した。「大分、宮崎どちらからも人を呼べる。環境を守り、観光を柱に若者が地区に残ることができるようにしたい」と井上区長。

 人口減と高齢化が進む佐伯市全体としても交流人口の増加は課題だ。市や商工会議所は海産物やすしなどで「食の街佐伯」を打ち出して誘客に努めるが、PR先は高速道でつながる大分市や福岡に偏ってきた。

 行政や経済界などで昨年秋に策定した佐伯市ツーリズム重点戦略は「宮崎県への情報発信の強化」を柱の一つに掲げた。戦略会議座長の山田英治大分県南部振興局長は「パイを奪い合うのではなく分け合い増やすことが重要」と強調。日豊地域全体の交流増加が経済活性化につながるとする。

 佐伯-蒲江など、未開通区間が完成すれば佐伯から延岡南までの全長約62キロがつながり、九州一市の面積が広い佐伯、2番目の延岡両市を貫く高速道路無料区間が現れる。佐伯市観光協会の古田浅男事務局長は「無料区間全体が乗り降り自由な『日豊フリーウェイ』と銘打ち、観光地などを巡る周遊コースを確立したい」と次の一手を考える。
(大分合同新聞佐伯支社・佐藤由佳)

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 東九州自動車道蒲江-北浦が16日、開通する。宮崎、大分県の県境が高速道路でつながることで、大きなチャンスが生まれる。宮崎日日新聞、大分合同新聞の共同企画で、開通を待ち望む延岡市と佐伯市の状況をリポートする。

【写真】リアス式海岸の入り江にある波当津地区。井上龍一郎区長は「美しい海岸は地区の宝」と話す

佐伯市の観光戦略
 豊富な魚種を売りにした食観光が盛ん。市外向けPR活動の他、旧北浦町との「東九州伊勢えび海道」(2012年度実績8064食)は経済効果8517万円と試算。大分県南の臼杵、津久見両市と「日豊海岸ぶんご丼街道」(11年度実績2万9594食)など、広域連携も推進する。

(上)戦 略2013年2月14日付
(下)危機感2013年2月15日付

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