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衝撃ノロウイルス 日南院内感染

(上)拡大要因

2012年12月25日
■危機意識が欠如 職員適切対応とらず

 ノロウイルスの集団感染で入院患者6人が相次いで死亡した日南市南郷町の医療法人春光会東病院。県内では11月からノロウイルスが流行し、患者数は例年の1.6倍に上っていた。医療機関には警戒が求められていたにもかかわらず、院内感染は止められなかった。感染しやすい寝たきりの高齢者を受け入れているが、感染症に対する認識不足から、対応は後手後手に回った。

 12日に最初にノロウイルスの感染症状の嘔吐(おうと)が出たのが70代の男性患者。寝たきりで胃に開けた穴にチューブで栄養を送る「胃ろう」を付けていたため、宮路重和理事長は「胃ろう患者は普段から嘔吐や下痢をする。男性は嘔吐しかしなかったので、感染は疑わなかった」と話す。

 同病院は64床全てが長期入院が可能な療養病床。寝たきりで抵抗力の弱い重症患者が入院している。普段から高い感染症への備えが求められるが、別な病院関係者も「発生当初はノロウイルスの感染拡大などは頭にもなく、特に対策は取られていなかっただろう」と内部の実態を語る。

 嘔吐物を飛散しないように拭き取ることや、汚物を袋に入れて密閉して感染性廃棄物として処置するといった適切な対応を取らなかったため、院内感染は徐々に広がり、14日には70代の男性が誤嚥(ごえん)性肺炎で死亡、16日までには職員4人にも嘔吐や下痢の症状も出た。しかし同病院が簡易検査キットを取り寄せ、ノロウイルスの検査をしたのは17日に入ってからだった。

 県内ではノロウイルスが原因とみられる感染性胃腸炎が流行し、11月には流行警報レベルを突破。県感染症対策室によると、県内36カ所の定点医療機関からの報告数は最新の12月10~16日で29.7人と平年の1.6倍となり、医療機関や社会福祉施設へ注意を呼び掛けていた。

 日南保健所が立ち入り検査した際には、看護師らが身に着ける使い捨てのエプロンが不足。患者への処置が終わった後に、エプロンを素手で触ってしまうなど、排せつ物や嘔吐物の処置に問題も確認されている。

 こうした病院の対応を、同保健所の瀧口俊一所長は問題視。「(12日の)初発の患者をノロウイルス患者と想定していれば、院内感染は予防できた。院内感染に対しての基本的な意識が職員に足りなかった」と危機意識の欠如を指摘する。

 23日以降新たな感染は見つかっていないが、同保健所は24日に続き25日にも同病院に立ち入り、予防策を職員に指導する方針。瀧口所長は「患者に接する職員は毎日代わる。標準的な感染症の予防策を全ての職員が徹底しないと、感染防止は難しい」と強調している。

【写真】感染拡大防止策を確認するため東病院に入る日南保健所職員=24日午後、日南市南郷町

(上)拡大要因2012年12月25日付
(下)予防策2012年12月26日付

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