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消費増税考 みやざき

(1)使途

2012年10月21日
■社会保障費増に対応

 消費税率25%。国民の収入に占める税金の割合は66.7%。経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち、最も税金が高い国はデンマークだ。宮崎市の介護施設で働いた経験のあるいつみ・ラワーセンさん(47)は同国の男性と結婚、移住して10年になる。

 ラワーセンさんは「日本と比べて食事や日用品にお金を掛けず、国民は質素に暮らしている」と話す。しかし、医療費や教育費は無料。病気や事故で働けなくなっても早期年金が支給される。

 税金の使途は情報公開されており、2008年度は税収の約7割が医療や福祉、教育に使われた。「国政選挙の投票率は約90%。国民の意に反して税金が使われることはない」。ラワーセンさんが高税率に納得している理由だ。

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 翻って日本。財務省によると、収入に占める税金の割合は22.0%(09年)。OECD加盟国のうち、算出不能の2カ国を除く32カ国で3番目に低い。

 一方で、年金や医療、福祉などの社会保障給付費は12年度予算で109兆5千億円。00年度から31兆4千億円も増えた。財源は保険料の60兆6千億円と、国債を含む公費の40兆3千億円などで、このままでは借金が膨らむ一方。社会保障制度の見直しとともに消費税率を引き上げる「社会保障と税の一体改革」が打ち出された背景には、こうした事情がある。

 ただ、国民の賛否は分かれる。共同通信社が8月11、12日に行った世論調査では、税率引き上げに「賛成・どちらかといえば賛成」が42.2%。「反対・どちらかといえば反対」が56.1%だった。

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 本県の状況も深刻だ。高齢化率は全国平均23.3%を上回る25.9%(11年10月)。社会保障関係費は毎年膨らみ続け、本年度は626億円(一般財源)に上るが、県財政課は今後も毎年50億~60億円ずつ増えるとみている。

 この現状を踏まえ、宮崎市内で介護事業を手掛けるNPO法人ホームホスピス宮崎の市原美穂理事長は「増税しないに越したことはないが、仕方ない」と一定の理解を示しつつ「県民も税金の無駄遣いを減らすと同時にしっかり投票し、使い道に声を上げるべき。でないと足りずにまた増税、となる」とくぎを刺す。

×   ×

 消費税を14年に8%、15年に10%とする法案を柱にした社会保障と税の一体改革関連法が成立した。今後は年金や医療制度改革を決める国民会議の行方が焦点だ。避けては通れないとはいえ、本県への影響は必至。県民の不安を探る。

【写真】スーパーで商品を選ぶ男性。多くのデンマーク人は食品などにお金をかけず、質素に暮らしている=デンマーク・ノースフューン市

(1)使 途2012年10月21日付
(2)家 計2012年10月22日付
(3)農 業2012年10月23日付
(4)事業所2012年10月24日付
(5)不 安2012年10月25日付

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