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政権交代 宮崎の3年

(1)地域主権改革

2012年8月31日
■自主施策の財源不足

 「企業進出の可能性があっても、(立地予定地で)農業振興地域の指定解除に時間がかかり、すぐには対応できない。土地を利用する権限が市町村に下りてくれば、もっと迅速にできるのだが」。えびの市の村岡隆明市長は、南九州の要衝にありながら企業誘致を思うように進めることができない現状をこう話す。

 民主党が2009年の衆院選マニフェストに掲げ、「1丁目1番地」とした地域主権改革。09年6月~10年7月、改革の具体策づくりに携わった元内閣府地域主権戦略室参事官、読谷山洋司さん(48)=延岡市=は「民主党は国が分け与える地方分権ではなく、地方が自ら決めたことを支援する地域主権を目指した」と説明する。しかし、その効果が地方に行き渡るまでには至っていない。

◇   ◆   ◇

 改革の柱は主に四つ。使途が定められたひも付き補助金に代わる一括交付金、国の出先機関の原則廃止、国が法令で自治体の仕事を定める「義務付け・枠付け」の見直し、市町村への権限移譲。国の仕事を地方に移し、自由に使える財源で自主的な施策を実行してもらう、という狙いだ。

 このうち市町村への権限移譲は、関連47法が見直され今年4月から実施された。延岡市の首藤正治市長は「騒音や悪臭に関する規制を市が設定できるようになり、工業団地に独自の基準を設けることができた」と、改革の一定の進展を認める。

 一方で五ケ瀬町の飯干辰己町長は「地方は変わっていない。移譲された権限に町内で活用できるものがあまりなく、効果が少ない。地方の意見の積み上げもなく、民主党政権との乖離(かいり)は大きい」。見方は厳しい。

 また一括交付金は11年度から交付が始まったが、県財政課の重黒木清主幹は「自由に使える仕組みは評価できる。ただ必要最低限の額しか交付されておらず、優先度の高い事業から行うしかない。自由な発想に基づくまちづくりに使うほどの余裕はない」と説明。

 出先機関の原則廃止も、インフラ整備の遅れや大規模災害時の対応への懸念などから地方側に慎重論があり、進んでいない。

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 県総合政策部の稲用博美部長は「確かに地方の裁量が増えた良さはあるが、独自性を出すには財源も必要」とする。

 本県への実質的な地方交付税は03年度の2444億6400万円をピークに翌年から三位一体改革で減少。民主党政権になってやや増えたが、11年度も2305億4500万円にとどまっている。

 稲用部長は訴える。「『地方の仕事だ』『地域の考えで施策を』と言われても、財源が保証されない状態では難しく、今までと変わらない」

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 民主党が圧勝し、戦後初の本格的な政権交代につながった衆院選から3年。政権交代は本県に何をもたらしたのかを探る。

(1)地域主権改革2012年8月31日付
(2)コンクリートから人へ2012年9月1日付
(3)直接給付2012年9月2日付
(4)政治主導2012年9月4日付
(5)マニフェスト2012年9月5日付

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