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できなかった決断 震災がれき・宮崎

(上)知事の政治判断

2012年8月12日
■「丁寧な議論」時間切れ

 東日本大震災で発生したがれきを被災地以外で受け入れる広域処理の検討終了を発表した10日、河野知事は「一番つらい課題だった。結果的に協力できなかったことには忸怩(じくじ)たる思い」と総括した。3月に国の協力要請を受けてから5カ月。知事は強いリーダーシップを発揮することなく、市町村も可否を決めるため特段の手立てを講じなかった。県内の議論、対応を振り返る。

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 「何とかできないかという思いで県全体のコンセンサス(合意)をつくる努力をしていく」。知事は、この言葉を広域処理に対する自身の「政治判断」と位置付け、繰り返し訴えてきた。

 知事の意向もあり、県が市町村長を招いた意見交換会、説明会は計3回。自治体アンケートも2回行ったほか、現地視察や放射能の専門家による説明会も開いた。「これだけ丁寧にやった県があるだろうか」と胸を張る知事。しかし、ある市の担当者が「もう少し早くできないのか」と懸念していた通り、議論は時間切れを迎えた。

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 県がこれだけ手間をかけた理由を、県担当者は「処分場を持たず、市町村の意向を尊重しなくてはならなかった」と説明。市町村長から「周辺に影響が及ぶ懸念もあり、単独表明は難しい」との声が上がっていた事情もある。ところが、県の「丁寧な議論」を横目に、状況はめまぐるしく変化した。国は当初、岩手、宮城両県の広域処理必要量を計401万トンと推計していたが、5月には計247万トンに修正。県が独自の受け入れ基準策定へ動き始めた6月末には、可燃物処理の見通しが立ったことが公表された。県担当者は「こんなに早く進むことは想定していなかった」と漏らした。

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 知事の「政治判断」に対し、焼却場や最終処分場を持つ14市町の首長の多くは「前向きに誠意をもって検討した」(長峯誠・都城市長)、「他県より検討する時間が多かった」(村岡隆明・えびの市長)と評価。一方で「県のリーダーシップのもとで進めても良かった」(野辺修光・串間市長)「県の独自基準をもう少し早く示すことができていれば」(肥後正弘・小林市長)との意見もあった。

 3月に受け入れを求める決議を全会一致で可決した県議会の外山三博議長は「知事が腹を決めて説得すれば、市町村長の反応も違っていたのではないか」と指摘。「決議を無視したとは言わないが、一歩踏み込んだ判断をしてほしかった」と語った。

(上)知事の政治判断2012年8月12日付
(下)市町村2012年8月13日付

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