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シミュレーション東九州道 宮崎―大分16年度開通

(1)観光

2012年5月19日
■周遊ルート創出期待

 東九州自動車道の宮崎―大分が2016年度中に全線開通する見通しとなった。県民待望の高速道は都市間の所要時間を大幅に縮めるだけではなく、産業圏に大きな変化をもたらすとみられ、高速道を軸とした活性策は欠かせない。観光、消費、物流、農林水産、医療、防災分野への効果をシミュレーションし、展望や課題を考えていく。

■国内外から誘致現実味

 セガサミーホールディングスの完全子会社となり、スポーツエンターテインメントリゾートを掲げるフェニックスリゾート(宮崎市)。関係者は、リゾートへの吸引力がさらに高まるとみる。フ社広報課は「年々拡大しているアジアからの観光客を福岡、大分経由で誘致することが現実的になり、四国からの誘客も期待できる」とする。

 これまで、交通アクセスの悪さは本県観光低迷の一因となってきた。九州最大の観光地、阿蘇(熊本県)は年間約1700万人、温泉地の別府(大分県)は約1200万人を集客。県内を見れば、県北を入り口に各地へ足を延ばす観光客は少数だ。

 だが、開通すれば宮崎―延岡は1時間15分(一般道で2時間6分)、延岡―大分市は1時間24分(同2時間4分)と所要時間は大幅に縮まる。宮交ホールディングス経営企画は「別府や阿蘇などからの流入が期待できる。高速道を利用した宮崎―延岡、延岡―北九州方面のバスの需要が出てくるし、運行の検討もしている」と見据える。九州観光推進機構(福岡市)の高橋誠副本部長は「西には九州新幹線が通り、宮崎―大分が開通すれば東回りの周遊ルートができ、九州旅行のバリエーションが増える。関西や外国から別府までは来ており、『別府から何分』という売り方もした方がいい」と広域連携をもシミュレーションする。

 一方、本県が単なる“通過点”になる懸念も。延岡市観光協会の高橋勝栄理事は「今高速が通っても、延岡に来る人は増えない。九州一の山、海、川がそろう延岡の魅力に地元が気付き、全国にPRできるかが鍵」と強調する。

   ◇     ◇

 高速道路網が充実すれば、人の流れが都市部に集中するストロー現象で、商圏が大きく変容する可能性もある。延岡市民は集客力の高い大分市に買い物に行く傾向があった。同市商業観光課によると、基準値の1を下回ると消費の域外流出があるとされる小売り吸引力指数で、同市は07年に0.87を記録。これに対し、宮崎、都城、日向市は1を超える流入が維持されている。

 高速道整備で流出に拍車が掛かることだけは避けたい。県商工会議所連合会の米良充典会頭は「都市との競争により地域間格差が生まれることも危惧され、地域の自助努力、個性化が求められてくる」と話す。

 みやぎん経済研究所の長池国裕常務理事は「交通インフラは建設がゴールではなく、地域活性化につなげてこそ評価されるもの。歓迎ムードだけではなく、官民が一体となり準備しておく必要がある」と指摘する。

【写真】東九州自動車道の開通が進むとともに、大型バスなどを利用した観光客増加に地元の期待が高まる=宮崎市・宮崎観光ホテル玄関

シミュレーション東九州道(1)観 光2012年5月19日付
シミュレーション東九州道(2)防 災2012年5月20日付
シミュレーション東九州道(3)物 流2012年5月22日付
シミュレーション東九州道(4)農水産物2012年5月23日付
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