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がれきの行方 みやざき

【上】仮置き場

2012年4月29日
■23カ所304万トン山積み

 震災復興を妨げているがれき。本県では受け入れに賛成する声がある一方、放射線に対する国の安全基準や風評被害の不安も根強い。被災地や受け入れを決めた自治体の現状とともにリポートする。

■石巻市、復興足かせ

 木材やコンクリート、布きれが、高さ約20メートルに山積みされている。宮城県石巻市の石巻工業港雲雀野ふ頭。28.5ヘクタールの広大な土地は、東日本大震災で生じた140万トン(3月末現在)ものがれきで埋め尽くされていた。市内にはこうした仮置き場が23カ所あり計304万トン(3月末現在)のがれきが積まれているが、運び込まれていないものも含めると総量は被災自治体で最も多い616万トン。震災から1年で処理を終えたのはわずか7%で、全国自治体の広域処理も思うように進んでいない。

 本県を含む多くの自治体が不安視しているのが安全性。同仮置き場にあるがれき全体の放射性セシウム濃度は1キロ当たり116ベクレル(昨年11月)で、再利用の際に国が定めている基準の上限100ベクレルを超す。ただし、東京都や静岡県島田市などが被災地から受け入れる可燃物に限ると101ベクレル(昨年11月)。国が広域処理での焼却を認める上限の240~480ベクレルを下回る。

 この状況を市民はどう感じているのか。別の仮置き場に近い仮設住宅に家族7人で暮らす会社員岩崎千恵さん(41)は「福島から100キロ以上離れていて、放射線を心配している人はいない」。さらに「いつまでも震災を引きずっているようで、早くなくなってほしい」とも語った。

   ■     ■

 市も処理を急いでおり、国の目標に従い来年度までを目指す。理由の一つは、来年度までの3年間で概算3千億円とされる処理費だ。昨年度は99.4%を国と県の補助で賄ったが、本年度分は不明。年間1千億円かかるとした場合、補助率が1ポイント下がるだけで10億円の負担増となる。市災害廃棄物対策課は「補助があるうちに処理しなければ復興に差し支える」と言う。

 夏場になると、ハエの大量発生や、発酵に伴うがれきの自然発火も心配。高台移転の計画用地になっている仮置き場もあり、復興の足かせになっている。

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 3月から東京都による搬出が始まった同県女川町。広大な石巻市と異なり、リアス式海岸で入り組んだ地形のため、仮置き場はすべて民有地となっており、ひと足先に受け入れが決まった。

 町民の多くが歓迎しており、仮置き場近くで働く渡辺都さん(46)も「がれきがなくならないと前に進めない」と話す。一方で、「放射線は目に見えない。県外の不安は分かる。一つでも多くの自治体が手を挙げてくれることを願うしかない」と吐露。受け入れが進まないほかの被災地を気遣った。

【写真】小高い丘のようにがれきが積まれている雲雀野ふ頭の仮置き場。がれきは今も運び込まれ続けている=4月23日、宮城県石巻市

【上】仮置き場2012年4月29日付
【中】受け入れ自治体2012年4月30日付
【下】県内自治体2012年5月1日付
【番外編】県市長会会長 戸敷正・宮崎市長に聞く2012年5月2日付

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