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日向灘地震に備える

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第2部 M9 その時宮崎は(1)空港・港湾

2011年11月28日
■大津波で物資輸送危機

 東日本大震災は東北地方沿岸部の営みを根こそぎ破壊した。静岡県沖から日向灘にかけて横たわる海溝「南海トラフ」で、これに匹敵するマグニチュード(M)9の超巨大地震が起きたら、私たちの生活はどうなるのか。シリーズ「日向灘地震に備える」第2部では、被災地での取材を交え、災害弱者の避難は可能か、交通インフラやライフラインの被害はどの程度か、シミュレーションする。

 海岸線からわずか1キロに立地する仙台空港(宮城県名取市)は標高1.7メートルと低い。3月11日、M9の東日本大震災が引き起こした津波は、防潮林を根こそぎ倒し大量のがれきとともに空港ビルへ流れ込んだ。

 3階の事務所にいた総務部総務グループの佐藤仁志副長は、3分ほどに及んだ強烈な揺れを、はいつくばって耐え、それまでの地震避難訓練の手順に沿って、空港利用者を屋外へ避難させた。津波警報を聞き「慌てて逆ルートで再びビル内へ誘導した」。

 空港ビルの浸水は深さ3.02メートルに達し、1階は壊滅。電源喪失で厳しく冷え込む中、近隣住民を含む1690人が避難し、15日までしのいだ。

 地区別、利用航空会社別など避難者をグループ分けし、食料や水の配布はスムーズにいった。「津波は想定していなかったが、避難訓練を毎年行っていたことで体が覚えていたことを実感した」。佐藤副長は振り返る。

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 宮崎空港(宮崎市)は標高5.1メートル。国土交通省宮崎港湾・空港整備事務所によると、滑走路上は盛り土で6メートルほど。赤江灘に突き出した滑走路正面は7メートル。滑走路南北も高さ5~6メートルの護岸で津波に備えている。

 2500メートルの滑走路が万が一波をかぶっても、緊急物資輸送に備え2千メートル分は確保できるという。

 しかし東海・東南海・南海の3連動地震や、さらに日向灘まで広がる4連動地震で、大震災と同じM9クラスの地震が起きれば、空港付近では5~7メートルの津波が想定される。

 宮崎空港ビル(長濱保広社長)は10月6日、宮崎市と一時避難施設の協定を結んだ。同ビル危機管理室の柳田孝専門官は「津波避難は時間との勝負。着の身着のままでも季節を問わず2日間はしのげる体制を整える」として毛布、食料などを備蓄。1階の浸水に備え、非常電源の上層階への移設も検討する。

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 大量の支援物資や救援隊を受け入れるには港の活用が不可欠だ。本県の重要港湾3港は細島(日向市)、宮崎(宮崎市)、油津(日南市)。宮崎港の岸壁は高さ3.5メートルで、単純計算するとM9クラスの地震による津波は1.5~2メートルの高さで上陸する。被災地のように小型船舶や貨物、自動車などが漂流する可能性がある。

 耐震岸壁は宮崎2、細島1の計3バースで、油津には、ない。国道220号を補う東九州自動車道もないとあって、県南は陸海ともに交通が途絶する恐れが高い。

 また岸壁が無事でも、大量のがれきが港内に沈み、航路が確保できないことも大震災で明らかになった。宮崎港湾・空港整備事務所は「漂流物、流失物をいかに抑え、航路を確保するかも今後の課題」と捉える。

【写真】3月11日に発生した大津波の直撃を受けた仙台空港ターミナルビル。1階は床面から3.02メートルの高さまで浸水し壊滅状態に。柱に浸水ラインを表示している=宮城県名取市

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