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第1回みやにち夢ひろがる小品展

第1回みやにち夢ひろがる小品展

2011年6月6日
思い伝わる佳作ぞろい 審査員講評

 昨年までの「3号、4号、サムホール展」から作品規定を一新し、これまで以上に多種多様な作品がそろった「第1回みやにち夢ひろがる小品展」(宮崎日日新聞社主催、みやざきアートセンター共催)は6月4日から12日まで、宮崎市のみやざきアートセンター4、5階で開かれている。審査に当たった崇城大芸術学部教授で画家の熊谷有展さん(44)=日展審査員、熊本市=に、大賞、準大賞の4点と出品作品全体の傾向などについて講評してもらった。

 小品に求められる「見た人に思いが伝わる」「表現したいものを心置きなく表現した」佳作ぞろいで、レベルが高いと実感した。出品者や出品点数もこれまでより増えたとのことで、宮崎の方々の絵にかけるパワーを感じた。あとは10代~30代の若い人たちの出品がもっと増え、絵に取り組む人々の裾野が広がってくれるといい。

 サイズの規制を緩めたことで、表現の幅や可能性が広がったようだ。上位入賞した作品はどれも素晴らしい出来で、大賞との差はほとんどなかった。6号が大半を占めたが、サイズの大きい方が見る者に訴えかけてくる力があり、審査の上で有利なことは否めない。ただ、6号以外にも良作は多く、準大賞も出た。

 全作品を通じてグレーや茶など落ち着いた色調が多い印象を受けた。口蹄疫や新燃岳噴火が影響した可能性もあるかもしれないが、宮崎ならではの、もっと色彩豊かで底抜けに明るいものが出てきてもよいのではないだろうか。さらに出品点数が少なかった水彩や日本画、版画の応募が増えるといい。

 絵は生活の中からしか生まれない。賞を取るための絵ではなく、生活の中で見つけた自分が描きたいものを素直に表現するのが創作のあるべき姿だ。また、今の自分の絵に満足せず、違うことに挑戦して自らの可能性を広げてほしい。今後は底抜けに明るかったり暗かったりと、明暗や色彩など表現の幅がより広がった作品が集まる公募展となることを望む。

■大賞 池田寿枝さん(63)=宮崎市=油彩「青い春」(6号)

 全体的に青や緑で春のまだ寒い様子を感じさせる一方、桜の花びらのような白やブランコに見立てた線に赤を使って、生命感や暖かさを出している。見る者に訴えかける心象風景になっており、さまざまなことを考えさせられる。色彩やタッチも破綻なく整っている。




■準大賞/津田辰子さん(82)=宮崎市佐土原町=アクリル「めがね橋」(6号)

 出品作品の中で一番がっちりと対象物に対峙(たいじ)して表現していた。現地に足を運び、しっかり向き合って描いたのだろう。空間の処理もマチエールの効果をうまく生かしている。真っすぐに引かれた石の境目の線に目を奪われた。年齢を全く感じさせない。




■準大賞/松崎恭輔さん(25)=宮崎市田野町=油彩「祈り」(4号)

 最近の流行である写実的作品で、リアリティーを大事にして表現している。ただ、胸や爪の部分などが、実物のモデルというより写真を写した感じになっている点は気になる。写真を使う場合でも、実際の人間をしっかり観察し、生命感に満ちた色使いができるよう心掛けてほしい。




■準大賞/川崎きよ香さん(16)=宮崎市・日向学院高2年=アクリル「狙う」(6号)

 ハゲタカだろうか。くちばしや目がとてもよく描き込まれている一方、顔以外の部分は粗さが見られ、整っていない。全体としては粗削りで未完成だ。しかし、偶然かもしれないが、結果としてめりはりが利いたことで逆に伝えたいものを際立たせ、印象に残る作品に仕上がっている。

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