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海外戦略は今

(上)旺盛な消費力魅力 「香港で売れる物」模索

2016年10月31日
 店内を巡ると、本県産の甘藷(かんしょ)やゴボウ、タマゴ、飲料などを含め日本食品が多数陳列され、異国の地とは思えない様相だ。中国・香港で日本商品を中心に取り扱うYATA百貨店。県産乳酸菌飲料などが置かれた棚には日本の他産地だけでなく韓国、スイスなど各国の品がずらりと並び、グローバルマーケットの姿を如実に物語る。

 日本の農林水産物の輸出先として過去11年間、最大市場となっている香港。「自由経済で関税がない」(香港貿易発展局)環境を背景に、2015年は輸出総額7451億円の実に24・1%を占め、2位の米国を約10ポイント上回った。

 日本産品の勢いを「何でも品ぞろえされ、異常なほど売れている」と語るのは、ビジネス情報を配信するNNA香港の黒川真吾編集長。旺盛な消費力と高い品質に裏打ちされた日本産への需要が、海を隔ててなお“すぐそこにある市場”を形づくっている。

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 日本各地の産品がこぞってしのぎを削る中で存在感も様変わりした。「12年までは日本産生鮮青果物は超高級品扱いで、飾り商品的な位置付け。中間業者が望むマージンも加わり、価格水準は現在の2倍程度だった。だが、今は価格と品質のバランスを鑑みた競争市場となった」とJA宮崎経済連香港事務所の佐藤憲司総経理は言う。

 円安進行、国の成長戦略、鮮度保持に優れたコンテナの登場-。さまざまな要因によって商流が増した今、香港消費者は価格と品質の折り合いを付けながら、物によって日本、中国、韓国産などと使い分けていると佐藤氏はみる。

 「商社は市場原理に基づく競争でスーパーからの依頼価格をかなえようと努力する。結果、中間層も手が届く価格帯での販売が実現して販売量が増え、生産者の出荷増につながる。香港はそのビジョンにだんだん近づいている」

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 成熟する市場にあって九州経済連合会が主導し同経済連などが設立した九州農水産物直販(福岡)は、まさに中間層まで照準を当て、本県産を含め「オール九州産青果物」の販路拡大をにらむ。

 香港で20品目程度を常時陳列する店舗も生まれており、小松菜、春菊など予想以上に売れ行きが好調な物も。同経済連としては県産の飲料、畜産加工品、豚肉など新たな品目を模索しており、世界の産地を相手に「負けられない」と関係者の意気込みは強い。

 県がグローバル戦略を掲げる中、在香港日本国総領事館の井川原賢首席領事=えびの市出身=は「香港の食品輸入元で、日本は国別で6番目で割合は5%弱。まだ伸ばせる可能性がある。『日本で売れる物を香港に』でなく『香港で売れる物は何か』という視点が必要だ」と強調する。

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 県議会海外経済戦略対策特別委員会の海外調査で同行した香港、上海の今をリポートする。

【取材メモ】
 販路拡大に向け、県議会海外経済戦略対策特別委員会と意見交換した現地の日本食品卸業者幹部はこんな指摘もしたという。「日本からの商品は段ボールが(強度的に)弱く、出荷から1週間程でつぶれる。海外は強いものを使っている。宮崎がそこを確立すればナンバーワンになれる」

【写真】県産の青果物などが並ぶYATA百貨店。甘藷はおやつ感覚で食べられると特に人気の高い商品だ=香港

【海外戦略は今】(上)旺盛な消費力魅力2016年10月23日付
【海外戦略は今】(中)宮崎牛 香港定着へ2016年10月24日付
【海外戦略は今】(下)上海で日本食人気2016年10月25日付

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