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宮日と考える宮崎の今~公立大時事問題講座から

(1)新聞の読み方

2015年10月22日
世の中知る「ものさし」

 宮崎日日新聞が1日に扱うニュースは、共同通信社が配信してくる世界や全国の記事が500本前後、自前の宮崎の記事が100本前後。私が部長を務める整理部は、その取捨選択や価値判断をし、見出しを付け、レイアウトする仕事。最初の読者であり、いかに読んでもらうか工夫する料理人でもある。

 ジャーナリストの池上彰さんは「新聞の醍醐味(だいごみ)は『飛ばし読み』」と言う。毎朝15~20分、8紙の見出しを頭に入れ、気になる記事は夜や1週間後に見返すという。

 短時間で情報が頭に入るのは、見出しを見れば概要が分かる、記事の1段落目に内容が凝縮されているなど、新聞の特性によるところも大きい。そういう構成を知れば、効率的に読むことができる。

 今年の学力テストでは新聞を読む小中学生ほど正答率が高い結果となった。実用的な日本語も身に付く。気になる記事を切り抜いてノートなどに張り、スクラップをつくるのもいい。

 インターネット上では、新聞社やテレビ局が発信する記事のほかに、取材をせずに引用だけで書く「コピペ記事」、「まとめ記事」、間違っている情報も混在する。便利だが、情報の受け手側の力量も問われ、注意が必要だ。

 新聞のニュースは、客観性を担保する手続きを経た、世の中の動きを知る一つの「ものさし」。記者が取材し、デスクや校閲、整理部のチェックを経て掲載される。読者の意見を聞いて異議は検討し、間違いは訂正する。

 米国では2009年だけで50紙が消滅した。プリンストン大の調査で、地方紙がなくなった地域は選挙の投票者や立候補者が減り、地方政治の硬直化が進んだという結果もある。

 本紙を含む地方紙は、権力を監視する「番犬」であり、地域コミュニティーの一員である「善き隣人」。口蹄疫が発生した際は、読者から提供された死んだ子豚の写真を、社内で悩み協議した末に1面で掲載し、農家の実情を伝えた。宮崎牛や鵬翔高サッカー部が日本一に輝いた時に号外を出したのも、本紙ならではの判断だ。記事を書くだけではない。配達員が高齢者を見守り、普段見られない美術展を開き、広告で企業の活動を後押しするなど、さまざまな場面で役割がある。

【写真】黒木部長(左)の講義で、新聞の中から気になる記事を発表する宮崎公立大の学生たち=2日午前、宮崎市

黒木裕司(くろき・ゆうじ)整理部長。1992年入社。日向支局長、整理部次長を経て2012年から現職。宮崎市出身。47歳。

学生の感想

【1年藤村未歩さん(19)】
 新聞を読むのは時間がかかり、難しいと思っていた。見出しで興味が出たものを詳しく読む方法は時間もかからず、実践したい。

【2年遠山大樹さん(20)】
 新聞は民主主義の要。いかに客観性を確保するかという点は今後も追究してほしい。

【3年海老原梨菜さん(20)】
 新聞を読む習慣がなく、インターネットのニュースや「まとめ記事」を読んで全てを知った気になっていた。中には根拠がない記事もあると知ったので、ちゃんと新聞でニュースを把握しようと思った。
(2015年10月2日の講座から)


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