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【第2部・どうする主権者教育】(1)体験学習

2015年10月10日
関心高め社会参加へ

 東日本大震災と原発事故で未曽有の被害を受けた福島県。翌2012年度から、若者たちによる「未来の福島県知事選挙」が行われている。若者に目指すべき福島の姿を描いてもらおうと、県選管が始めた模擬選挙だ。

 候補者役の福島大生が政策を立案し、希望する高校で告示される。そこでは大学生が選挙公報や政見放送、立会演説会などを実践的に繰り広げる。投開票では実物の投票箱や用紙を使う。

 本番さながらの“知事選”を通じて高校生たちは、演説に説得力がある候補者を当選させる年もあれば、現実的な政策を選択する年もある。

 「人口が減り、復興に何十年かかると言われる中、故郷の未来をつくる若者を育てることが一番の目的」。同選管事務局の佐藤良作(32)は意義を述べる。

 「大学生は政策立案のため、高校生は候補者を選ぶため地域を学ぶ。大事なのは選挙の仕組みもだが、福島の今を知ること」

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 来夏から18歳も選挙権を持つことで、国は新たな有権者層となる高校生への主権者教育を急いでいる。

 「耳慣れない言葉だが、これまでもあったもの」と宮崎大大学院教育学研究科教授(社会科教育学)の吉村功太郎(49)は説明する。小中学校では社会科、高校は公民科に含まれる。

 ただ、学生闘争が盛んな1969(昭和44)年に旧文部省が高校生の政治活動の禁止を通達したこともあり、「政治はタブー」とされてきた側面がある。

 文部科学省は副教材を9月にもホームページで公開、12月には印刷に入り、全高校生に配布予定。吉村は「本来の主権者教育を実現するチャンス」と位置付ける。

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 本県でも取り組みが広がる。8月、都城市の都城泉ケ丘高。市選管の出前授業で2、3年生が模擬選挙をした。戦国武将から日本の「大統領」を決める設定。投票箱に票を投じた普通科2年の天神照仁(17)は「時間があまりかからず、結構簡単だった」と感じていた。

 宮崎市の宮崎農業高は3年生が9月定例県議会の一般質問を傍聴した。引率した教諭の川末修(53)は「現場を見ることで、政治に関心を持ってほしい」と期待する。

 県教育長の飛田洋(62)はこうした体験学習の大切さを説く。「水泳を理論だけ教えても上達しないのと同じ。仕組みだけでなく、選挙で社会参加する素晴らしさを体感することが大事」
(敬称略)


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 選挙権年齢が18歳以上へ引き下げられるのを受け、県内外で主権者教育が広がる。シリーズ「わけもんの1票」第2部ではあるべき姿を探る。

【写真】都城泉ケ丘高で模擬選挙をする生徒たち。主権者になる意識を高めている=8月28日、都城市

【第2部・どうする主権者教育】(1)体験学習2015年9月25日付
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