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生誕130年 牧水はるかなり

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【第2部・自然愛】(1) 四季の彩り

2015年6月16日
温度や光 細かく表現

 若山牧水の歌には季節を感じさせるものが非常に多く、春夏秋冬の彩りがふんだんにちりばめられている。日向市東郷町の若山牧水記念文学館は5月から生誕130年を記念して、牧水「歳時記」展を開いている。来年3月までの長期企画展で夏秋冬春の順に4期に分け、俳句の季語を集めて分類している歳時記から季節の言葉を抽出。その言葉に関連する牧水の歌をパネル展示している。7月26日までは「夏の歌」の展示で、蝉(せみ)や蚊、郭公(かっこう)、ヒマワリなどを題材にしている。

 夏の歌だけでも展示は600首を超え、来館者はその多様さに驚きの表情も。同文学館職員の荒砂正伸(45)は「自然の中を実際に歩いている牧水だから詠める世界。アユやホトトギス、山桜など、いろんな生物や植物の特徴を捉え歌にしている。観察眼や知識がすごい」と話す。

 一方、牧水研究会会員で若山牧水延岡顕彰会副会長の九鬼勉(64)=延岡市緑ケ丘=は春夏秋冬の歌について「ただ漫然と自然を歌うのではなく、温度や湿度、光などを細かく表現している。普通の歌人では詠めない細やかさ。一首一首に季語に準ずるものを詠んでいる」と感嘆する。


 牧水が亡くなった1928(昭和3)年の短歌雑誌「創作」12月号は文学者や友人らが牧水を追悼。大正、昭和期に歌人、小説家などとして活躍した岡本かの子は「然(しか)し何と云(い)っても牧水さんは自然詩人だった。(中略)自然を御飯のやうに喰(た)べた。(中略)牧水さんが死んで日本の自然も淋しいことであらう」と、牧水と自然の強い関わりを書いている。

 牧水の孫で沼津市若山牧水記念館館長の榎本篁子(75)=神奈川県相模原市=は「牧水は晩年、『自然の厳しさ、喜びも感じるけれど、都会に住む人は自然があることすら気づかない。だんだんそういう心が浸透していってしまうのが恐ろしい』という内容の文章を書いた。自然回帰がいわれる今に通じている」と語った。
(敬称略)

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 牧水は自然を愛し、「自分自身が自然の一部」とも言った。家庭を大事にした牧水の愛情は、自然に分け入りいつくしみながら歌を詠むその姿勢にもつながっている。

【写真】若山牧水記念文学館で開かれている牧水「歳時記」展。牧水の歌には自然の要素が豊富に盛り込まれている=日向市東郷町

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