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生誕130年 牧水はるかなり

【第3部・継ぐ者】(1) 研究の輪

2015年7月24日
宮崎から全国に発信

 宮崎市内の飲食店会議室で今月上旬、牧水研究会の会合があり、県内から13人の会員が出席した。高校教師や大学教授、医師、主婦など肩書はさまざま。2006年に発足した同会の研究誌に評論や短歌鑑賞などを執筆してきた会員たちは「この輪がさらに広がってほしい」と、研究の盛り上がりを熱望する。

 同会は全国各地に会員を有し、現在87人(県内38人、県外49人)。会長は歌人で若山牧水記念文学館館長の伊藤一彦(71)。30~80代の男女が在籍し年2回、研究誌「牧水研究」を鉱脈社から発行する。編集人を務める興梠慶一(41)=宮崎大宮高教諭=は「依頼原稿ではなくほとんど自発原稿。積極的に執筆してくれる。宮崎から全国に発信していることがすごい」と話す。

 これまで17号を発行。「牧水の文学的出発」「牧水と女性」「牧水と植物」など、号ごとに大きなテーマを設け会員たちの研さんの場となっている。中でも第8号「牧水をめぐる人々」(11年)は優れた歌集や短歌関連雑誌などに贈られる前川佐美雄賞を受賞した。シンポジウムや講演会も本県や東京、京都などで行っている。7月には18号を発行する予定。


 この日の会合では活動報告や今後の方針などを話し合い、会員は「自分なりに牧水の人生を追体験できた」「もっと多くの事実を掘り起こしたい」などと話した。「牧水の文体と表現意識」などの評論を同誌で発表している、宮崎産業経営大法学部教授の大坪利彦(58)は「牧水研究から近代文学の構造が見える。また、牧水は英文科を出ているので外国の書物も原文で読んで理解したのではないか。これが短歌に影響したのかも調べたい」。同市の主婦堀越照代(64)は一首鑑賞を執筆。「牧水は激動の時代を生きたのに、短歌ではその騒々しさに触れていない。なぜなのか知りたい」と意欲を見せる。

 会長の伊藤は研究会について「今後は近代文学全体に視野を広げ、そこで牧水がどういう位置づけだったかを研究する会になっていけばいい」と期待する。
(敬称略)


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 牧水が呼吸をしていた時代から確実に遠くなっていく。しかし家庭や自然を純粋に愛した感性、至高の文学は後世に多大な影響を与えている。その思いを継ぐ人たちの活動は続く。

【写真】研究誌「牧水研究」について意見を交わす牧水研究会の会員たち。宮崎から全国へ発信している=宮崎市

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