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東九州道 延岡―宮崎開通 論点整理

(1)観光

2014年3月27日
 東九州自動車道の延岡-宮崎が開通した。本県活性化に必要として求めてきたが、対応を誤れば逆効果となる恐れもはらむ。産業や県民生活など各分野で何が期待され、何が課題か。論点を整理する。

■利点/四国からの誘客期待
 「どんどんつながる東九州自動車道」。八幡浜港(愛媛県)と、臼杵港(大分県)を結ぶ九四オレンジフェリー(愛媛県八幡浜市・瀬野恵三社長)の時刻表に、こんな文字が躍る。東九州の利便性が向上することで、そこに商機を見いだそうとする意図がうかがえる。

 佐伯―蒲江(大分県)が2014年度に開通すれば、宮崎西-臼杵は約2時間半。同社は約2年前から九州へのセールスを強化した。テレビCMを放映するほか、県北の観光施設を対象にした割引特典などを展開中だ。

 「利便性の悪さが解消され、宮崎に南下する人が出てくる。ただ、四国に宮崎が浸透しているとは言えないので積極的に宣伝してほしい」。同社の眞木重壽取締役部長は意欲を見せる。

 背景には、本県を訪れる四国からの観光客の少なさがある。県の12年調査(県内10地点)では、県外からの全観光客のわずか1・6%。逆を言えば、それだけ可能性を秘めていることにもなるのだ。

 年間約137万人(2012年)が訪れる県内有数の観光地・高千穂町も、四国から訪れる観光客は全体の5%にとどまっていることから誘客に期待を寄せており、同町観光協会は四国での高千穂神楽披露を計画するなど対策を準備中だ。

 同協議会を構成する、みやざき観光コンベンション協会は「熊本に流れていた観光客を高千穂に1泊、宮崎でもう1泊できる周遊コースを提案したい」と見据えている。


■課題/「日帰り」増加を懸念
 新燃岳噴火、口蹄疫で落ち込んだ本県観光は2012年の観光客数が前年比109・8%と回復の兆しを見せた。しかし宿泊が少ないという弱点は変わらない。東九州自動車道開通による交通アクセス向上は、日帰り観光をさらに加速させる可能性もある。

 観光庁の統計によると、12年に本県を訪れた日本人観光客は505万8千人。うち宿泊は16%の81万7千人で、九州で最も少ない。大分県は817万2千人中、32%の262万4千人。鹿児島県は観光客は451万8千人と本県を下回るが、宿泊は216万6千人で約2・5倍にも上る。

 他県は東九州道開通をどう見ているのか。年間300万人超の観光客が訪れる湯布院温泉観光協会(大分県由布市)の桑野和泉会長は「よそと観光客を取り合うことにはならない」と意に介さない。由布市商工観光課も「温泉に加え、自然景観を守る条例制定や、足並みをそろえた宿泊料金設定などでブランド力を高めている」と自信を見せる。

 宿泊観光で他県に大きく水をあけられている本県。ANAホリデイ・インリゾート宮崎(宮崎市青島)広報宣伝課の青山榮作課長は「青島も宿泊施設が減っている」と認めた上で、「宮崎と温泉はイメージが結び付かないが、海から昇る朝日を浴場から見られるなど泊まれば満足してもらえる。サーフィンに渓谷巡りと、海と山の遊びを提供できるのも強み。神話など素材はある。何とか泊まってほしいという気持ちで仕掛けを打っていきたい」と力を込める。


■識者の目/おもてなし不十分
 【宮崎産業経営大・墨昌芳専任講師】九州の観光地間で競争が激しさを増す。プロ野球キャンプなど目的がある人は宮崎に宿泊する可能性は高いが、周遊型の宿泊地は別府や湯布院(大分県)、指宿(鹿児島県)といった温泉地が優位に立つと思われる。

 本県の「おもてなし」は不十分。東九州道が整備され、県民や本県観光関係者は今後、他県の洗練されたサービスを経験する機会が増える。その時、本県との差を実感するだろう。神話やパワースポットなど観光資源は豊富なので、PRの強化と各観光地が連携して誘客する意識を高めることが求められる。

(1)観光2014年03月18日付
(2)消費2014年03月19日付
(3)企業立地2014年03月22日付
(4)物流2014年03月23日付
(5)港湾2014年03月24日付
(6)交通2014年03月25日付
(7)地域間競争2014年03月26日付

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