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宮崎牛 連覇への道

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第5部 夢の舞台で(1)

2012年10月25日
■出品農家ら臨戦態勢 会場到着、手狭な牛舎調整懸命
 5年に1度開かれる第10回全国和牛能力共進会は25日、長崎県で開幕する。2010年に牛、豚など約30万頭が殺処分された口蹄疫発生後、初めての開催。マイナスの状態から、どの県も成し遂げたことがない連続日本一に挑む本県も主会場の佐世保市・ハウステンボスに無事到着した。勝つために必要な牛舎のリフォーム、長距離移動でリズムを乱しそうな牛のフォロー…。夢舞台に立つ感慨にふける間もなく、出品農家らはすぐに臨戦態勢に入った。(報道部・草野拓郎、村永哲哉、写真部・宮本武英)

 午前9時、バスなど7台を連ね、大声援を浴びて小林市を出た本県代表団。4区代表の黒木松吾さん(55)=串間市=は「この2カ月、長かった」。8月末の最終選考後、県代表の重圧と戦い、ここまでたどり着いた安堵(あんど)感があったのだろう。車内は誰もが笑顔だった。

 牛を運んだ都城市・中央運送の松原修一さん(46)は「選び抜かれた牛だけにおとなしく運転が楽だった」。ハウステンボスに牛を降ろし、ほっとした表情を浮かべた。

◇     ◇

 反対に技術員らの顔つきは一変した。「移動で体重が10~20キロは落ちる。ここからどのくらい餌を食うかが本番でものを言う」とJA高千穂地区の佐藤高則畜産部長。

 特設テント内で牛1頭に用意されたのは3メートル四方のスペース。普段過ごす牛舎より一回りも二回りも手狭だ。地面にはいつくばり、敷かれた畳の隙間を確かめ、ミリ単位で餌箱の高さを調整する。ベニヤの壁は牛が体をこするので畳で覆う。骨組みだけで殺風景だったのが、2時間ほどで快適な空間に様変わりした。「ここで手を抜けばどんなにいい牛がいても勝てない」。黒木さんの言葉にうなずく。

◇     ◇

 県勢牛舎の10メートル先はライバル鹿児島県の牛舎。「V奪還鹿児島黒牛」と大書されたのぼりが風に揺れ、真剣勝負の場にいることを実感する。人がきびきび動き、牛も黒光りしていて手ごわく見える。

 前回王者の本県が追われる立場にあることも思い知る。5度の出場を誇る永友浄さん(68)=都農町=の3区(若雌)代表「ただふく6の2」の周りには瞬く間に人だかりができた。大分県代表の佐藤美知雄さん(46)は「明らかに抜きんでている」と目を見開き、警戒する。

 到着から3時間半。準備作業も一段落した。7区代表の齋藤國章さん(65)=小林市=は「餌の食いがおかしい牛もいない。これなら開幕までに体調も十分整う」。ベテランの見立てに不安は吹き飛び、連覇への期待が膨らむ。

【写真】トラックから降り、ハウステンボス内の牛舎に向かう代表牛と出品農家=24日午後、長崎県佐世保市

第5部 夢の舞台で(1)2012年10月25日付
第5部 夢の舞台で(2)2012年10月26日付
第5部 夢の舞台で(3)2012年10月27日付
第5部 夢の舞台で(4)2012年10月28日付

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