ホーム 特集 宮崎牛 連覇への道

宮崎牛 連覇への道

一覧

第4部 全共に懸ける(1)宮城

2012年10月7日
■来年開催 日南市に大会旗
 宮城県の主力種雄牛「茂洋(しげひろ)」の子牛の枝肉出荷が始まったのは2010年。枝肉重量(県平均487キロ)が500キロ、肉質4等級以上の上物率(同73%)が86%、脂肪交雑基準「BMS」(同6.8)が7.8と肥育成績は過去最高をマークした。それまで3年間下落続きだった子牛の平均取引価格を、一気に約7万円引き上げた。

 スーパー種雄牛の登場は、肉質5等級のみという厳しい認証基準をクリアした高級ブランド「仙台牛」の出荷を活性化させた。直後、扱う県内外の店舗は55店増え667店を数えた。

◇    ◇

 「茂洋がいれば向こう10年は仙台牛は安泰」と言われた矢先の昨年3月、県内外に壊滅的な被害をもたらした東日本大震災が起きた。東京電力福島第1原発事故による放射線漏れや風評被害は、東北の畜産界に今なお影を落としている。

 飼料用の稲わらから放射性物質が検出され、ほとんどの県内産飼料の使用自粛が続くほか、消費者の買い控えで肉の売り上げは低迷。余震は大きなストレスを生み、餌や水を口にしない牛や死産が増えた。

 「暴れて角が折れた、ひづめが欠けたなどの話は数限りなかった」と言うのは宮城県畜産課の鈴木徳彦主幹。義援物資が全国から届くたび、感謝しつつも「自分たちの食べ物はそこまで手厚くなくていいから、牛にしっかり食べさせたい」と胸を痛める農家が少なくなかったと言う。

 明るい展望が描けない中、一筋の光となっているのが25~29日に長崎県で開かれる第10回全国和牛能力共進会。「仙台牛が踏ん張っていることをアピールしたい。次回17年大会の開催地の意地もある」と鈴木主幹。一頭でも多く上位に進出させ、長期化が必至の復興の道を乗り切る力に変えたいと燃えている。

◇    ◇

 1992年第6回大分全共から本格出品を始めた宮城は、まだ優等首席の獲得はない。全共で重視される体積に劣るきらいがあった。

 対策は進めてきた。2002、07年全共でそれぞれ大会を席巻した鹿児島、宮崎県から子牛を02年から毎年約100頭ずつ導入。豊かな体積を子に伝える2県の雌牛と、改良技術の粋を集めた茂洋を掛け合わせた子牛たちで勝負をかける。

 7区(総合評価群)のRB種牛しゅぎゅう代表「ふくこ」は本県西諸県地区から導入した雌牛から生まれた。生産者の大立目敏夫さん(61)=宮城県登米市=は「宮崎牛がルーツの子は体積、肉質に優れ、性格も落ち着いている。数え切れないほどの余震はきつかったが、それを乗り越えたことで、どんな緊張した空気の中でも堂々とした立ち姿を見せてくれるはず」と確信している。

×    ×

 38道府県が選抜した480頭が産地の威信をかけて争う全共。それぞれが誇る血統や宮崎牛との因縁など、同じ全共に挑む畜産県でも成り立ちや個性の違う県外6県を紹介する。

【写真】西諸県地区から導入した雌牛の子「ふくこ」で長崎全共出場を決めた大立目敏夫さん(左)=宮城県登米市

第4部 全共に懸ける(1)宮 城2012年10月7日付
第4部 全共に懸ける(2)鳥 取2012年10月8日付
第4部 全共に懸ける(3)鹿児島2012年10月9日付
第4部 全共に懸ける(4)滋賀、山形2012年10月10日付
第4部 全共に懸ける(5)長 崎2012年10月11日付

関連記事

powered by weblio


ロード中 関連記事を取得中...