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宮崎牛 連覇への道

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第1部 和牛五輪と畜産王国(上)手応え

2012年7月10日
■地元開催転機に飛躍
 宮崎市のJA宮崎中央家畜市場で3日にあった子牛競り市。出場した約500頭に、滋賀、三重県や京都府など約40人の県外バイヤーも熱い視線を送った。

 滋賀県のブランド牛肉「近江牛」の生産者として約300頭を肥育する渡辺政幸さん(52)は雌5頭を購入した。「頭数も多く、質も安定している。高い運送費に見合うだけの価値がある」と本県市場に厚い信頼を寄せる。

 県内7カ所の市場で年間に取引される子牛頭数は約7万頭で鹿児島県に次いで全国2位。取引価格も全国平均を2万円上回る41万円台の高値をキープする。

 バラエティーに富んだ血統、ばらつきの少なさ、飼いやすさから確固たる地位を築く本県子牛市場だが、肉用牛の改良成果を競う全国和牛能力共進会では先進地の背中を追い掛ける時代が続いた。
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 古くから肉用として和牛を飼育してきた兵庫、鳥取、島根、岡山、広島、山口の6県から99頭が参加し1966(昭和41)年に岡山県で開催された第1回全共。役牛としての利用が60年代まで続き、肉用飼育の歴史が浅い本県は3頭の参考出品にとどまった。

 70年の第2回鹿児島全共には28頭を送り込んだが、県勢最高位は3席どまり。全国和牛登録協会県支部の職員だった黒木法晴さん(87)=宮崎市=は「手応えを感じながらも、全国との差も大きかった」と語る。

 後じんを拝していた本県にとって転機となったのが、77年に新設された都城地域家畜市場(都城市)で開かれた第3回全共だった。

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 碁盤の上に4本の脚を乗せ制止する牛。手綱一つで引き手の思い通りに歩く牛-。「島根、鳥取や兵庫などと比べれば宮崎の知名度は比べものにならなかった」。第3回全共に若雄2頭を出品した坂本栄作さん(72)=宮崎市=は初めて足を踏み入れた全国の舞台に圧倒された。

 5区(高等登録群)に3頭を出した大野正伸さん(61)=都城市=は優等2席を手にした。最高賞の内閣総理大臣賞を獲得した島根県勢などとの差を突きつけられる一方、県勢も3頭が優等首席を獲得し地元開催の面目を保った。

 大野さんは「宮崎牛でも先進県の牛と勝負できると本県の農家の意識が変わった瞬間だった」と話す。

 この年、県内の肉用子牛取り引き頭数は国や県の増頭政策もあって、10年前の第1回全共当時の倍近い約6万8千頭に飛躍。全共草創期3回の出場を経て増した層の厚みは、次代を担う種雄牛たちを生み出す基盤となっていった。

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 和牛のオリンピックと称される全共第10回大会は10月25?29日に長崎県佐世保市を主会場に開かれる。過去9回の成績をひもときながら、畜産王国として地歩を固めた本県畜産界の歴史をたどった。

【写真】全国屈指の高値で取引される県内子牛市場。全国2位を誇る取引頭数は購買者からの信頼の証でもある=3日午前、宮崎市のJA宮崎中央家畜市場

第1部 和牛五輪と畜産王国(上)手応え2012年7月10日付
第1部 和牛五輪と畜産王国(中)改 良2012年7月11日付
第1部 和牛五輪と畜産王国(下)肥 育2012年7月12日付

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