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宮崎牛 連覇への道

第6部 てっぺんの余韻(上)

2012年10月31日
■重圧耐え王者の風格 緻密な準備 宿敵圧倒
 長崎県で29日まで5日間の日程で開かれた第10回全国和牛能力共進会(全国和牛登録協会主催)。県勢は最高賞・内閣総理大臣賞を種牛(しゅぎゅう=種雄牛と繁殖雌牛)の部で獲得したのをはじめ、全9区分中5区分で優等首席に輝くなど、他37道府県の追随を許さない断トツの内容で連続日本一を決めた。メンバー全員、産地の総合力でつかんだ「てっぺん」だった。口蹄疫のダメージを払拭(ふっしょく)するため、結果が求められた今大会。重圧に耐え、史上初の連覇という金字塔を打ち立てた県勢の奮闘を振り返る。

 勝利の心地よい余韻が残る体を揺られること4時間。29日午後11時前、西諸県地域の代表農家らが小林地域家畜市場に到着すると、凱旋(がいせん)を待ちわびた300人の市民がバスを取り囲んだ。

 「連覇おめでとう」「感動をありがとう」。掲げられた横断幕の前に、興奮を隠しきれない地域の農家らが並んでいた。内閣総理大臣賞を受けた7区(総合評価群、7頭一組=種牛4、肉牛3)種牛代表、中別府秀雪さん(31)=小林市須木=は「成し遂げた連覇の重みをあらためてかみしめながらバスを降りた」。万感の思いを込め、家族や友達と固い握手を交わした。串間市でも、30日未明に帰り着いた農家が100人以上の熱い出迎えを受けた。歓喜の輪が県内各地で広がった。

◇     ◇

 3千人の観衆で埋まった会場のハウステンボス。「群を抜いて優れている。深み(背中から腹までの長さ)、伸び(首から尻までの長さ)、毛味(毛色、毛並み、手触り)などすべてのレベルが高く、個体間のばらつきもない」。本県7区の講評がアナウンスされると、他県出品者からも拍手が起こった。

 同一種雄牛の産子の繁殖、産肉能力の両方が問われる7区は激戦区。鳥取県の「勝安波(かつやすなみ)」、宮城県の「茂洋(しげひろ)」など有力種雄牛の産子たちとの戦いを、口蹄疫で殺処分を免れた「美穂国」の子で制した。宮城県代表・大立目敏夫さん(61)は「王者の風格が漂い、見た瞬間、かなわないと思った」とため息をついた。

 開幕前から他県の熱い視線を浴びていたのが3区(若雌)首席に輝いた永友浄さん(68)=都農町=の「ただふく6の2」。「てっぺん、取ったど」と永友さんが声を張り上げると、誰もが「当然」という表情でうなずいた。

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 サポートも手厚かった。少しの緩みも排除するため、全体朝礼を開催。技術員約40人は携帯電話にイヤホンを差し込み、大歓声の中でも通話できるようスタンバイした。

 JAはまゆう技術員和田康秀さん(28)は2区(若雌)首席の「とみの3」、4区(系統雌牛群、4頭一組)首席の「たまこ3」を担当。和田さんは「牛と生産者をよく知る技術員がすぐに駆け付ける態勢が農家に安心感を与えた」。全国和牛登録協会県支部の長友明博業務部長は「首席の数などほぼ狙った通りの成績。起こり得るさまざまなトラブルを想定し、対策を打ってきたことがうまくはまった」。緻密な準備で会心の展開を引き寄せた。

【写真】審査員のチェックを受ける本県7区の種牛4頭。7区は種牛の部の内閣総理大臣賞を獲得した=長崎県佐世保市のハウステンボス

第6部 てっぺんの余韻(上)2012年10月31日付
第6部 てっぺんの余韻(中)2012年11月1日付
第6部 てっぺんの余韻(下)2012年11月2日付

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