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おなじ命~宮崎 動物と生きて

(1)愛護の輪 野良猫救う

2013年1月1日
■地域で管理、飼い主探す/個人の活動が契機

 戦後社会は成熟期を経てますます複雑化し、それと並行するように人間と動物の関係も多様化してきた。ペットとしてだけではなく、その行動から何かを学んだり、人生に寄り添う大切な存在となったり…。県内で動物とさまざまな形で関わり、ともに生きる人たちの姿を見詰める。

 宮崎市の中心街にあり、ファッション、飲食の店が集まる四季通り。狭い路地に入ると、日なたぼっこを楽しむ猫たちが目に入る。飼い主はいないが野良猫と違い、地域が責任を持ち管理する「地域猫」と呼ばれる。地域猫を中心とする動物愛護のネットワークが今、広がりつつある。

 地域猫管理の中心に立つのは、近くで靴店を営む坂元潤子さん(62)。近隣住民と協力し掃除、子猫が増えないように避妊・去勢手術を行っている。

 四季通りはかつて、野良猫がごみを荒らしたりふん尿をしたりするなど、不衛生な状況だった。十数年前は、空き家にすみ着いた猫がたくさんの子猫を出産。多くの店主らが「体がかゆい」と訴えるほど、ノミやダニが大量発生したこともあった。

 地域にとって極めて迷惑な存在となっていた猫。放っておけばさらに増え、最悪の場合「処分」もあり得る。悩み抜いた坂元さんは、自分が可能な限りのことをやろうと決意。野良猫を次々に捕獲し避妊・去勢手術を自腹で始めた。2008年には「愛護四季の会」を発足させ、活動を本格化させた。

   ■     ■

 精力的な活動が口コミで広がり、「子猫が生まれて困った」「犬の引き取り手がいない」などの相談が寄せられるように。同会は、手術費の援助のほか、定期的に同通りで譲渡会を開催し飼い主探しを支援。これまで手術した猫や犬は217匹にも上るという。

 手間もお金も掛かる。中には子猫を押しつけて逃げる人も。「苦労だらけ」と坂元さん。ただ、活動に賛同する支援者も徐々に増えている。

 近くで陶器店を営む神田忠司さん(67)は「四季通りを憩いの場にする人が増えた。ごみ荒らしもせず、助かっている」。神田さんは同会会員ではないが、譲渡会の日は、早朝から設営などを手伝う。坂元さんの協力で、子猫の飼い主を見つけた女性は「猫の世話は分からないから」と譲渡会の会場に食事を差し入れる。餌、手術代として募金する買い物客も数え切れない。

 活動を後押ししようと、行政も動きだした。宮崎市保健所保健衛生課によると、同保健所が引き取った子猫や犬は06年度の1332匹から11年度は772匹に減少。同課は「坂元さんら、多くの団体の協力のおかげ」。現在、猫や犬の保護、譲渡を行う愛護センター設立を検討している。

 「一人の力ではここまでできなかった。支援の輪が広がり、愛護活動が各地に波及すればうれしい」と坂元さん。人と動物が共生できる地域社会の実現を強く願う。

【写真】地域住民らで管理する宮崎市四季通りの地域猫。坂元潤子さんは動物との共生を目指し、試行錯誤を続ける

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