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論・考・道州制

【第4部】何をすべきか(1)競争力

2013年11月3日
■低迷する観光、製造業

観光客でにぎわう宮崎市青島。県内観光は口蹄疫や新燃岳噴火の影響からは脱しつつあるが、九州各県と比べて集客力は低い
 「これからは他県の活力を取り込む」。東九州自動車道北九州-宮崎の2015年度の開通を地域活性化につなげようと、県が市町村職員向けに今月開いた勉強会。県総合政策課の金子洋士課長は訴えた。

 ただ、高速道の恩恵を求めるのは他県も同じ。ライバルとなりそうな大分県大分市では、年間売り上げ262億円を誇る複合商業施設「パークプレイス大分」が来年4月までに約10億円をかけ6300平方メートル増床。集客の広域化を見込む。

 延岡商工会議所の黒木善寛常務理事も「大分には商業施設だけみるとかなわない」と消費流出に危機感を持ち、「道の駅を活用した特産品による地域づくりなど、人を呼び込む工夫が必要」と考える。

 厳しさを増す地域間競争。都道府県を廃止し、全国を10程度のブロックに再編する道州制が導入されれば県のバックアップはなくなり、県内市町村はその荒波をもろに受けることになる。
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 宮崎市の青島神社を12年に訪れた観光客が前年比23%増(県調べ)-。口蹄疫や新燃岳噴火で落ち込んだ観光業界に今年、光が差した。しかし県ホテル旅館生活衛生同業組合の川越清文理事長の表情は「ほとんど宿泊を伴わない通過客。実態は違う」と晴れない。

 川越理事長の言葉は数字に表れている。観光庁の宿泊旅行統計調査によると、12年の県内の延べ宿泊者数は363万人泊と全国で37番目、九州7県では6番目。九州で5番目の大分県は612万人泊で、本県の倍近い。残念ながら、「観光宮崎」の名にふさわしい競争力は備わっていない。

 道州制では県境を越えた広域的な観光客誘致も期待されるが、川越理事長は懐疑的。「他県の人が宮崎を売り込むと思うのは甘い。各種団体や行政が一致団結し、宮崎を商品化しなければならない」と地域をブランド化させる必要性を説く。
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 本県の競争力について、九州経済調査協会の南伸太郎研究主査は「地理的に不利なことと、産業構造は周辺産業が少ない1次産業のシェアが高い」と指摘。10年の経済産業省調査によると、本県の製造品出荷額は全国43位、沖縄県を除く九州では最下位だ。

 自民、公明両党が道州制推進基本法案を国会に提出、可決されれば導入に向けた動きが始まる。県の枠組みを越えた競争に、本県は現状のままで立ち向かえるのか。宮崎商工会議所の米良充典会頭は「人脈をつくり、正確な情報を早く集める。そうしなければ一部の産業以外は沈む。世界に一つしかないものをつくる。これが宮崎が生き残るすべだ」と強調する。
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 道州制の議論はいつ動くか分からない。九州各県の動向も交え、本県は今何をすべきかを探る。

【写真】観光客でにぎわう宮崎市青島。県内観光は口蹄疫や新燃岳噴火の影響からは脱しつつあるが、九州各県と比べて集客力は低い

【第4部】今、何をすべきか(1)競争力2013年10月25日付
【第4部】今、何をすべきか(2)意思表明2013年10月27日付
【第4部】今、何をすべきか(3)情報提供2013年10月28日付
【第4部】今、何をすべきか(4)地域力2013年10月29日付
【第4部】今、何をすべきか(5)市町村2013年10月30日付
【第4部】今、何をすべきか(6)関心2013年11月1日付
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