“余白”で物ごとの見え方が変わる

2019年02月07日掲載

榎田 志穂さん

『陶工房こころ』 陶芸家

44歳/三股町

三股町の自宅に開いた『陶工房こころ』で、自分の心と向き合いながら陶芸に没頭する榎田さんの信条は、器にも生き方にも〝余白をもたせること〟。榎田さんの意味する〝余白〟とは?

 都城市で生まれ育ち、22歳の頃家族で三股町に移住。その当時、幼稚園の先生として全力で仕事に打ち込んでいた榎田さんでしたが、いつしか時間も心も余裕がなくなり、悩み抜いた末に退職を決意。
 ちょうどその頃、友人が陶芸教室に通い始めたと聞き、陶芸よりも“趣味を楽しむ余裕”に強烈なうらやましさを感じた榎田さん。退職後は、その友人と同じ教室に通い始めました。「たまたま陶芸だっただけ。そういうゆとりのある時間が持てれば何でもよかったんです」。
 土練りから始まる陶芸は思った以上に難しく、もどかしい毎日。「ろくろの前に座っても苦しい、逃げたいと思ってしまう自分。組織の中では見えなかった自分がいて、戸惑いました」と振り返ります。そんな弱い自分も受け入れようと思えた時、やっと心が軽くなったそうです。
 少しずつ陶芸の魅力にはまり、2年間の修業を経て独立。『陶工房こころ』を開いて16年になります。粉引(こひき)の柔らかな白さと手になじむ曲線が美しい榎田さんの器は、使い手が想像を膨らませ、料理を盛った時初めて完成するように“余白”を意識したもの。また、そんな器を手に取り、お茶を楽しむ時間も“余白”。「自分の心も同じかな。心に“余白”があることで見え方も変わるし、違う考えも受け入れられます」とも榎田さんは言います。
 本好きで、1年前から都城市立図書館で週3回働いています。町のファミリー・サポーターに登録し、子どもの預かりをすることも。「陶芸はもちろん大事。でも自分の“好き”で動ける余白も、持ち続けていきたいんです」と話す榎田さんの好きな言葉は「予期せぬ人生が人生」。そんな榎田さんの柔軟さが器にも投影され、独自の魅力を放っています。

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