「がん」と「遺伝」

産婦人科医会 山口昌俊

2018年05月17日掲載

 今年はがんゲノム医療元年といわれ、がんの診療に遺伝子検査が取り入れられる年になります。もともと、がんは遺伝子の変化によって発生する病気ですが、がんゲノム医療でどのように変化するのでしょうか。このことを理解するためには、まず遺伝子を理解する必要があります。

 遺伝子とは、生物の設計図です。設計図には体をつくるための部品であるたんぱく質の情報が暗号化されていますが、父由来と母由来の2つのコピーの設計図があることが重要です。これらの部品の中には、細胞の増殖を促進するタンパク質(アクセル)、抑制するタンパク質(ブレーキ)や遺伝子の異常を修復するタンパク質などがあり、細胞が勝手な行動をしないようにコントロールされています。このような細胞増殖に関連する遺伝子に異常が生じて、勝手に細胞が増殖し続ける病気を「がん」と呼びます。最近、分子標的薬という治療が開発されてきており、がん細胞のどの遺伝子に変化があるかで、薬剤が有効かを判断できる可能性が出てきました。がん細胞の遺伝子変異(変化)を解析してがん治療に役立てようというのが「がんゲノム医療」です。

遺伝性がんの発見に役立てる

 問題は、がん細胞の遺伝子を調べることにより、親から引き継いだ設計図自体に変異があることが分かる可能性があることです。もし親から引き継いだ設計図に変異があれば、血縁者も同じ変異を持っている可能性があります。例えば、自分の子どもが同じがんになる可能性があることが検査によって分かるのです。アンジェリーナ・ジョリーで話題になった「遺伝性乳がん卵巣がん症候群」が有名です。この疾患は、以前は日本人にはいないといわれていましたが、最近は欧米人とほぼ同じ頻度で存在することが分かってきました。親からがんになりやすいという性質が伝わっていることが分かった場合、悪いことばかりではなく、その情報からがんの早期発見に役立てるという良い面もあるため、今後ますます重要視されると思います。自分が「がん家系」ではないかと心配な人は、主治医の先生に相談してみてはいかがでしょうか。

MEMO

ゲノムとは遺伝子(gene)と染色体(chromosome)から合成された言葉で、DNAのすべての遺伝情報のこと。


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