あなどれないRSウイルス感染症

小児科医会 川口健二

2018年04月05日掲載

 RSウイルスは代表的な風邪ウイルスのひとつです。1歳までに半数以上が、2歳までにはほとんどの子どもが感染するごくありふれた病気ですが、乳児が発症すると、30~40%は呼吸が苦しくなる細気管支炎を引き起こし、そのうち数%は入院が必要となります。乳児の入院原因の第1位はRSウイルス感染症です。

年間を通して流行傾向に

 従来は寒い時期に流行していましたが、ここ数年は夏場でも発生し流行時期が通年化している傾向が見られます。

 赤ちゃんが母体内で母親からもらう免疫はRSウイルスにおいてはあまり役に立たず、生後1、2カ月でも発症します。初感染の時に重症化しやすく、初めは軽い咳、鼻水のみですが、次第に喘鳴(ぜんめい)=ヒュウヒュウゼーゼー=がひどくなり、多くは発熱を伴います。あえぐような呼吸で顔色が蒼白(そうはく)、咳込んで哺乳後に嘔吐(おうと)し水分が取れない場合は入院治療が必要となります。初感染後に免疫(抗体)ができますが、次回の感染を防ぐには不十分なので何度も再感染します。

 感染を繰り返すうちに十分な免疫ができて軽症化し、おおむね3歳以上になると鼻風邪程度で済みます。しかし、免疫機能が低下する高齢になると再び重症化することがあり、老人介護施設などでの集団発生が報告されています。

 RSウイルスはインフルエンザと同様に迅速診断ができます。ただし小児科外来での検査の保険点数は、重症化しやすい0歳児にしか認められていません。とはいえ1歳以上でも必要と判断すれば、採算は無視して検査を行う先生が多いでしょう。

特効薬なく対症療法

 RSウイルスのワクチンや特効薬はありません。咳、喘鳴に対する対症療法のみです。重症化しやすい早産児、先天的に心臓・呼吸器に障害のある赤ちゃん、免疫不全やダウン症の赤ちゃんに限り、RSウイルスに対する免疫抗体の製剤を流行期に繰り返し接種することで発症や重症化を防げます。しかし非常に高価な薬剤なので、健康な赤ちゃんは接種の対象外です。

 すぐには難しいですが、RSウイルスのワクチンや抗ウイルス剤の開発が待ち望まれます。

MEMO

乳児が入院する原因の第1位はRSウイルス感染症です。


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