色づき始めた空の下、浜の北端の岩場に寄せる波

手つかずの自然が引き立てる「地区の誇り」

 紺ぺきの海が広がる日南海岸。海沿いを走る国道448号を南下すると、串間市の夫婦浦や築島が姿を現し、風景は刻一刻と表情を変えていく。舳(へた)港を抜け、道を大きく曲がりながら上りきると、長い下り坂の先に白く輝く石波浜が目に飛び込んでくる。

 市木川の河口に緩やかな弧を描く浜は南北約3キロ。1996年に社団法人大日本水産会により、日南海岸として青島と共に日本の渚(なぎさ)百選に選定された。地元では北側を藤の浜、南側を石波の浜、合わせて市木浜とも呼ぶ。浜の北端に立つと、正面には遠く築島の集落が望める。右手には野生ザルの生息地として国の天然記念物に指定される幸島が、きらめく波の奥に浮かぶ。

 渚と住宅地の間には防潮林があり、塩害から地区を守る役目を担う。南側は石波の海岸樹林と呼ばれ、「古来現状を保った天然防風林」として国の天然記念物に指定されている。多様な樹木が生い茂り、野鳥の鳴き声が響く内部は昼間でも薄暗い。センダンなどに加えてタチバナやハマカズラなど希少な植物も自生し、手つかずの自然が浜の景観を引き立てている。

 美しい砂浜を維持しようと、住民活動も始まった。市木16地区と諸団体でつくる元気市木づくり推進協議会(川崎永伯会長)は、昨年から海岸の清掃活動に取り組み、11月には約300人が参加。砂浜は浸食を受け、昔と比べると狭くなったというが、住民は浜を「地区の誇り」と胸を張る。川崎会長は「台風の後などはごみや流木など漂着物が多い。活動を続け、砂浜を地区全体で守っていきたい」と力を込めた。(写真部・成田和実)

【メモ】石波浜は串間市の中心部から車で約30分、日南市南郷町からも約30分。宮崎市青島から鹿児島県志布志市まで続く日南海岸国定公園に属する。渚百選には日豊海岸の小倉ケ浜(日向市)も認定されている。