畑には5センチほどの霜柱が空に向かって伸び、繊細でダイナミックな光景が広がる

厳しい寒さが育む甘み

 身を切るような霧島おろしが容赦なく吹き付ける。気温は氷点下3度。高原町蒲牟田にある東三利さん(66)の霜柱がびっしりたった畑では冬キャベツが寒風にカサカサと外葉を鳴らしながら収穫を待つ。

 冬キャベツは別名「寒玉」といい、玉がよく締まり平たいのが特徴。厳しい寒さにさらされるほど甘みが増す。葉に厚みがあるため生食はもちろん、この時季の鍋など煮込み料理に最適だ。

 葉たばこ農家だった東さんと妻いく子さん(67)が野菜に転換したのは4年前。230アールの畑でキャベツの他に焼酎甘藷(かんしょ)、ジャガイモ、タマネギなど多種の野菜を栽培している。45アールあるキャベツ畑では苗の移植時期や品種を変え、収穫時期をずらし常に収穫できるように工夫をしている。「これまで、ヒヨドリによる鳥害やコナガ虫の被害も経験した。風対策では根元に土をかぶせ苗が倒れないようにと苦労もしてきた。以前は月300個程度だった販売も今では700個と増え、手応えを感じている」と語った。

 東さんは出荷先のひとつとして直売所にも野菜を並べている。直売所「杜の穂倉」を運営する農事組合法人はなどう代表理事の黒木親幸さん(70)は「東さんは手間を惜しまず、少しずつ収穫できるように工夫も忘れない。野菜が不足したこの冬も安定して出荷している」と太鼓判を押した。

 東さんは「新鮮さも保て自分のペースで出荷できるので体への負担も少ない」と少量販売のメリットを説く。

 野菜作りの原動力のひとつは夫婦の野菜を楽しみに待つ孫の存在だ。「農家は生涯現役。孫のためにも体の動くうちは続けたい」と笑顔を見せた。

【メモ】 2011年の新燃岳(しんもえだけ)噴火で農産物が大打撃を受けた高原町では、被災の風化防止と地産地消教育を兼ね町内の保育園・所、小中学校給食に地どれの食材を活用している。本格的噴火が始まった1月26日には、毎年東さんら農家を招き交流給食会も開かれる。