花の成長に応じて糸でつるす位置を変える永倉さん。日当たりを考慮するなどデリケートな作業が続く

タイミング見極め花咲かせる

 高級フルーツとして高い人気を誇る本県産の完熟マンゴー。県内有数の産地・日南市南郷町のハウスを訪れると、垂れ下がる糸に支えられるようにしてオレンジ色の花が咲き乱れていた。一房に3千〜4千個が咲く花は独特な香りを放ち、西洋ミツバチが花の間を忙しそうに飛び回っている。

 計52アールで栽培する潟上の永倉勲さん(58)の「まるひげ農園」では出荷時期に合わせて生育のタイミングをずらしており、花が満開を迎えたハウスや既に5センチほどの実をつけたハウスなど4棟に分かれている。

 マンゴーは花を咲かせる時期を見極め、温度調節によって開花させる。「花を咲かせる工程がマンゴー栽培ではかなり大事。タイミングを間違うと花も咲かなければ実もできないから」と永倉さん。段階によって細かく室温を変え、花が咲く前は10度以下まで冷やし、満開になると22〜23度で保温する。今年は5月中旬から収穫できる見込みで、永倉さんは生い茂った木をかき分け、実の傷や形など確認しながら摘果作業に汗を流していた。

 県内で栽培されるマンゴーのほとんどが癖が少ない日本人好みの「アーウィン種」。ネットに落果するまで完熟させる栽培方法が高品質のマンゴーを生み出し、全国的な人気を保ち続けている。JA宮崎経済連園芸販売課主幹の伊豆元文博さん(35)は「今や本県果樹産業のメーンといってもいいほど」と語る。しかし、コストや技術的な問題から栽培農家は年々減少傾向にあり、さらなる品質向上や栽培技術の底上げが必要だという。

 「毎年同じ作業をしても『例年通り』にいかないのがマンゴー栽培。仲間内では『魔物』とも呼ぶとよ」と永倉さん。収穫後はすぐに翌年の栽培に向けての準備が始まるなど一年中気が抜けない。これから成熟を迎える小さな実に向ける視線は情熱に満ちていた。

【メモ】JA宮崎経済連が取り扱った2015年のマンゴーの出荷量は約980トン。そのうち、10%前後が01年に認証されたブランドの県産完熟マンゴー「太陽のタマゴ」である。糖度15度以上、重量350グラム以上、傷がなく美しい見た目、という厳しい基準が設けられている。