行き交う人を鮮やかな色で楽しませるビオラ。乾燥しやすいため、花壇がある橋は全国でも珍しいという

市民生活見守り、雄大な景観観光客を魅了

 「出先から帰る途中、橘橋を渡るとホッとする。『お帰り』と言われているような気がしてね」。宮崎「橋の日」実行委員会事務局長の鶴羽浩さん(52)は、九州有数の1級河川、大淀川に架かる橘橋をそう表現する。宮崎市の目抜き通り「橘通り」と結ぶ橋は、交通の要衝として市民生活を見守り、川を望む雄大な景観で観光客を引き付ける。

 初代の橋が架かったのは1880(明治13)年。大淀川を渡る手段が渡し船だった時代、川の南側にある中村町の医師福島邦成が「都市が発展するには橋は欠かせない」と私財を投じ木橋を架けたという。通行料を取り維持したが、4年後の豪雨で流失した後、県が架け替えている。

 現在の橋は6代目で1979(昭和54)年に完成した。長さ389メートル、幅28メートル。国交省宮崎河川国道事務所によると、橋脚を減らし増水対策を強化。現在、耐震工事を施し「100年橋」へ手入れを欠かさない。4車線化され1日約3万4千台(2010年調べ)と県内有数の交通量を誇る。

 春はコリウス、秋はアキランサス、冬はビオラ。歩道の花壇は植え替わり、橋に彩りを添える。管理する宮崎市花のまちづくり公社の関屋淳さん(56)は「目につきやすい鮮やかな植物にしている。よそ見しない程度に楽しんで」と話す。橋のたもとにワシントニアパームの並木が連なり「南国らしさとすっきりした街並みが共存し、いい眺め」。熊本市から単身赴任中の会社員杉本浩二さん(62)は心を和ませる。

 旅立ちの春―。宮崎を離れる人、新しく生活を始める人が行き交い、さまざまな思いが橋上に交錯する。

【メモ】宮崎「橋の日」実行委員会は橋の日の8月4日、橘橋周辺で献花や打ち水などイベントを開催。福島の業績をたたえる紙芝居を作り、顕彰活動にも取り組む。事務局TEL0985(72)2730。=おわり=